数ある生地の中で『ドーメル・アマデウス365』が最強な理由
最終更新日:2021年3月27日
ドーメル社を代表する珠玉の名作生地『アマデウス365』。
“Nice suit. (良いスーツだ)”
こんな映画でよく耳にするセリフがこれほどしっくりくるスーツ生地はそう多くはありません。
『アマデウス365』の何がそんなに優れているのか。なぜそんなに評価されるのか。
ドーメル社の考える服地への向き合い方、理念などをおさえながらアマデウス365を紹介いたします。
ドーメル(DORMEUIL)とは
アマデウス365を取り上げる上でまずドーメル社の服地に対する軸(価値観)を把握しておく必要があります。
イタリアやイギリスを本拠とする生地商社が多い中、ドーメルはフランスの毛織物商社です。
フランス発ではありますが扱う毛織物はイギリスから輸入する“メイド・イン・イングランド”を徹底するのがドーメル社の特徴です。フランス生まれイギリス育ちというイメージです。
ドーメル社の生地は、ハリウッド映画の衣装やラグジュアリーブランドの服地にも採用されています。
最近では、本場イギリスのテーラーを舞台にしたアクション映画『キングスマン』の衣装でもドーメル社の服地が採用されています。
そんなドーメルの生地は“華やかさ”と“威厳”のコンビネーションが特徴です。
例えるなら、フランスが華やかさ、イギリスが威厳です。
エルメス、シャネル、ディオールなど名だたる超一流ブランドの出身国であるフランス。
華やかでありながら品格の中にどこか遊び心があります。
一方で厳格かつ正統派なジェントルマンの聖地であるイギリス。
ドーメルはフランスとイギリスの良さを服地で体現しています。
アマデウス365の特徴
アマデウス365の特徴は華美な光沢と丈夫さ(タフさ)です。
そしてこの2つが高いレベルで共存しているのが『アマデウス365』最強たる所以です。
ちなみに語尾の”365″というのは365日=1年、オールシーズン着用できるという意味です。
ではアマデウス365が最強たる所以、もう少し深掘りしていきます。
華美な光沢
アマデウス365はなんと言っても華美な光沢が特徴的な生地です。
一般的なスーツに比べるとかなり強めの光沢です。
テレビ越しに見た政治家や著名人、街中を歩いていてすれ違ったビジネスマンのスーツを見たとき「なんか良さそうなスーツだな」と感じたことはありませんか?
その「なんか良い」の正体は光沢であることが多いです。
光沢がないスーツよりも光沢があるスーツの方が高級感があります。
アマデウス365の華美な光沢は、しっかりとした色の発色、太陽のような輝きと闇雲にぎらついているのではなく品格も保たれています。
さすがはフランス生まれイギリス育ちです。
ドーメル『アマデウス365』と聞くと、ロロ・ピアーナ『タスマニアン』とエルメネジルドゼニア『トロフェオ』が比較対象として挙がります。
いずれもドーメルと同格で強い光沢を秘めた高級生地です。
ロロ・ピアーナ、ゼニアの光沢感はイタリア生地に多いしっとりとしたヌメ感が特徴的です。
華美というよりは繊細な糸のこまやかさを感じ取れる光沢。
アマデウス365、タスマニアン(ロロ・ピアーナ)、トロフェオ(ゼニア)、いずれも光沢の強弱に大差はありませんが色の発色をダイレクトに感じ取れる分アマデウス365が1番強い光沢感と言えます。
私の経験からしても、数ある生地の中で「光沢の強い生地は?」と聞かれた場合、まずアマデウス365が思い浮かびます。
丈夫さ(タフさ)
アマデウス365は丈夫さ(タフさ)も持ち合わせています。
一般的に光沢の強い生地は細い原毛から作られます。その繊細さから光沢感や風合いを生み出しますが耐久性が弱点となるケースが多いです。
冒頭で述べたとおり、ドーメルはフランス発のメイド・イン・イングランドを徹底しているイギリス生地です。
イギリス生地の特徴としてしっかりとした打ち込み、ハリコシが挙げられます。
アマデウス365の生地においても同様です。
また、縦糸と横糸で編み込む糸のボリュームを変えることで、オールシーズン着用できる生地の重さをキープしつつ耐久性を兼ね備えた生地となっています。
決して力技で編み込んだ硬さの残った生地ではなく、風合い、繊細さも併せ持っている質感です。そして華美な光沢感仕上げはまさにフランスゆずりと言えるでしょう。
実際に散々着倒してきたが依然へこたれない
私自身アマデウス365、タスマニアン(ロロ・ピアーナ)、トロフェオ(ゼニア)で作ったスーツをそれぞれ持っており実際に着比べてきました。
2016年〜2020年頃、私は中国への出張が多く基本的に3ヶ月から半年単位で現地に滞在していました。
その間に重宝したのがアマデウス365です。
現地では国内線や車での移動も多く、極力荷物を少なくするためスーツはアマデウス365を含む2セットのみ持参することが基本でした。
大きな国なので移動の前後で気候が異なることもあり、オールシーズン着用に適した生地という面も助かりました。
ズボンに関してはデニムを併用していましたが、アマデウス365のジャケット単品だけ週3, 4日着回すということはよくありました。休ませることなく連日着用したまま移動、屋外での仕事や会食というケースも多々ありました。
仕事・遊び・休みの境界線はなく、ビジネスシーンとフォーマル、パーティーシーンの繰り返し。光沢◎タフ◎なアマデウス365はまさに鬼に金棒でした。
私の場合、タスマニアン(ロロ・ピアーナ)、トロフェオ(ゼニア)の着用シーンは、結果としてパーティーや会食など単発の場面に限定されていきました。
普段の場面では、朝から着用して夜には「ちょっとヘタってきたな」と都度感じたためです。
特にトロフェオ(ゼニア)はそれが顕著に表れていました。
イタリア生地ならではの繊細な生地感を肌感覚で覚えたと同時に、やはりアマデウス365はタフだと実感しました。
とはいえ、レザーやデニムではなく高級服地です。限度はあります。
また、そもそもの前提として同じスーツを連日着用したり、短い間に何度も着用したりすることは避けるべきです。
同じスーツを毎日着用することは、スーツの寿命に直結します。
ケアと着用頻度の意識次第でアマデウス365は一生モノのスーツになるポテンシャルを秘めています。
オーダースーツ専門店 サルトクレイス
ゴリラ先生
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