2020年秋冬のツイードジャケット
いつもブログをご覧頂きありがとうございます。
大阪・京都のオーダースーツサロンサルトクレイス谷町本店です。
今回は私がこの秋冬に作ったツイードジャケットについて。
ジャケットのサイズと仕様
スタッフのスペック
ジャケットのサイズ
ジャケットの仕様
作るにあたってのポイント
今回のジャケットを作るにあたってのポイントは2点。
この2点に集約される。
ポイント少ないと思われるかもしれないがこの2点をしっかりと実現することにこだわった。
長く着れること
アパレル業界において一つの大きな関心事と言えば「サスティナブル」が挙げられる。サスティナブルに対してのオーダースーツのアプローチは長く着れるものが最たるものだ。
長く着るためには生地はもちろんのこと副資材の芯地にまでこだわらないといけない。いわゆるフル毛芯のものが良いだろう。
生地は「MOON」というブランドのもの。ツイードの生地として日本でも知名度を獲得している。サルトクレイスでもいくつかMOONの取り扱いがあり様々な色合いや目付のものがある。その中でも今回私が選んだのが500g/mというヘビーウェイトと生地。柄はガンクラブチェック。
生地の重さから見てもわかるように繊細な繊維から織られている生地ではなく太い原毛を使ってしっかりと打ち込んだ生地。イタリア生地のような柔らかさやオチ感は皆無‼ハリ・コシがすごく、硬さを感じる生地を選んだ。タフで摩耗にも強いこと、柄もトラディッショナルなガンクラブチェックなので飽きが来ないだろうと考えた(この柄がめちゃくちゃ好きというわけでもないので好みの変化にも耐えられる)
また厚めの生地のジャケット・パンツであれば、消耗して薄くなったり、穴が空いた場合でも修理がしやすい。薄手の生地だと少しの厚みの変化がやはり目立つし着用感への影響も多い。次第に着なくなることも多いだろう。だが厚手の生地であれば修理してもそういうものと認識できるし元々少し硬めの着用感なので柔らかい生地のものより違和感なく取り入れられるだろう。
生地についてはたくさん話したので今度は長く着るための他の要素、芯地について。
今回は芯地は薄く軽いがハリコシのあるものを使用。生地自体にしっかりと厚みがあるので厚手の芯地でなくても良い。首に吸い付くような作りであることも相まってかなり軽い。長く着ることを考えるとこれもかなりポイントが高いのでは?
細身のデニムに合わせる
ジャケットを考える時に合わせるパンツはかなり重要。色合わせも当然のことながらシルエットも必ず考慮せねばならない。スラックスを合わせるにしても裾幅18.5のスラックスと裾幅22のスラックスに合わせるジャケットは違う。同様に股上22センチと26センチのスラックスとではジャケットのバランスは変えた方が良い(堂々としていれば何でも問題ないという持論は一旦置いておく)
さて、今回のジャケットに合わせるパンツは桃太郎ジーンズの「0201」というモデル。公式ではやや浅めの股上とある(着用している29インチは股上25だそう)膝下ストレートながらもも周りなどは適度な細さでスッキリとしたシルエットになる。
このデニムに合わせると決めた時にまず決めるのは次のポイント
これだけかよ…
やや短めの着丈
秋冬(夏でも着てる)によく着ているKynoch(カイノック)のスリーピーススーツのジャケットの着丈が75センチ。トロピカルの紺ジャケットも同じく着丈75センチ。しっかりとお尻を隠そうと思うと私の場合75センチはほしい。
今回合わせるのが細めのデニムであることとせっかくなのでチャレンジということで着丈を短くすることに。着丈71センチ、4センチの決断はやや思い切った。
写真でやや角度に違いがあるので少しわかりにくいが前面から見た時にツイードジャケットの方がスッキリ見える。丈の違いもあるがフロントカットをより丸くすることで印象を変えている。着丈もそうだが生地感が思い分バランス的にはやや軽い印象にしている。
紺のジャケットを見て通り着丈の長いものが好きだがバランスを調整しながら遊ぶのも面白い。このデニムに合わせるならツイードジャケットのバランスの方が良いだろうし都会的。
この二つのジャケットだが、わかりにくいが紺のジャケットのほうが2釦の位置が2センチほど高い。その分釦の間の距離が長い。紺のほうがよりカチッとした感じ、ツイードの方をより軽快でスポーティーな感じを心がけた。その方が細身のボトムスと合わせやすい。
重厚感ある中に軽快さを
今回のジャケットは合わせるボトムスから考えて方向性を決めてテーマを考えた。「重厚感の中に軽快さを」お気づきの方もいるかもしれないが私はイタリアテイストかイギリステイストかで言うと圧倒的にイギリステイストが好み。恐らくデニムに合わせるでなくしっかりとゆとりをとった裾幅22前後のトラウザーズを履くのであればジャケットの着丈は長く取っているだろうしフロントカットも閉じたものにしているだろう。その際はコスプレにならないよう注意する。
好きなのは重厚感ある雰囲気。けどデニムはスッキリしたシルエットである種都会的な雰囲気なのでジャケットもそれに寄せなければならない。
ツイードにあるカントリー要素だけでなく他の要素を混ぜるのが重要。
短めの着丈やスラントポケットが該当するだろう。ビルドアップショルダーもその一つといえる。
今ジャケットのみならずパンツをオーダーする際には今手持ちの何と合わせるのか今一度検討してほしい。
兎にも角にも
今回作ったジャケットもそれに合わせるデニムも一生着ていきたいということが最も重要である。
サルトクレイス谷町本店 髙橋
あわせて読みたい