【アメリカ最高級靴】オールデン”別注品”の謎に迫る
最終更新日:2021年4月15日
雑誌でも常に掲載がされ続け、多くのセレクトショップでも取り扱いが絶えない「オールデン」。
オールデンにはセレクトショップ等で取り扱っている”別注品”があります。
今回ご紹介するのは世界中のアパレルショップで販売されている様々な別注品の謎について紹介します。
目次
「オールデン」とは
1884年、チャールズ・H・オールデン氏が米マサチューセッツ州ミドルボロウという町でオールデンを創業しました。
創業後から変わらず伝統的なグッドイヤーウェルト製法の革靴を作り続け、医療用製品靴の分野を開拓しました。
その後、足に問題を抱える方のための医療用矯正靴を開発し、ファッション業界で注目を浴びました。
これがのちの代表木型である「モディファイドラスト」の誕生と言われています。
堅実な靴作りと、上質な革素材、更には快適な履き心地が合わさることでオールデンは「King of American Shoes」と呼ばれるアメリカを代表する靴メーカーになりました。
アメリカ最高峰シューズブランド
前述の通りオールデンがアメリカで最高峰のシューメーカーと言われるのは、履き心地に拘り続けた「木型(ラスト)」が関係しています。
木型は靴の形を決定する重要な物ですが、オールデンはその中でも名作の木型と言われる物を多く輩出しています。
中でも「モディファイドラスト」、「バンラスト」、「バリーラスト」、「アバティーンラスト」の4つはオールデンを語る上では外せない木型になります。
※今回は別注品の内容になるので木型に関する説明は除きますが、興味のある方は是非調べてみてください。
革のダイヤモンド「コードバン」を使用した靴
オールデンといえばコードバンと言われる程オールデンでは贅沢にコードバンを使用した靴が多いです。
コードバンに関して詳しい内容は以下をご覧下さい。
【革のダイヤモンド】コードバンの革靴の魅力
オールデンの使用しているコードバンは同国の名門タンナー(革を生産する工場)である「ホーウィン社」の物です。
ホーウィン社はアメリカのシカゴに本拠地を構えるタンナーであり、現代に至るまで植物性のタンニン鞣しにて革を作成しています。
コードバンを出しているタンナーは他にもありますが、世界で一番と言えるのは間違いなくホーウィン社のコードバンでしょう。
「オリジナル」と「別注」の違い
オールデンはオリジナルと言われるオールデン社が自社で展開している物と、別注品と言われる他ブランドに卸している物があります。
オリジナルを購入されたい場合は「ラコタハウス」が国内では主に販売しています。
店舗は「青山」、「丸の内」、「大阪」になるので都市部以外の方は厳しい現状です。
別注品の場合には多くのセレクトショップ(SHIPS,BEAMS,UnitedArrows等)やBrooks Brothersにて購入出来ます。
①木型(ラスト)の違い
オールデンのオリジナルと別注で基本的に木型が変わることはありません。
しかし数は少ないですがオリジナルの木型を展開している場合があります。
【United Arrows限定ラスト】トムラスト
日本を代表するセレクトショップ「ユナイテッドアローズ(以下UA)」では限定ラストの「トムラスト」を展開しています。
数あるセレクトショップの中でも何故UAだけがトムラストの展開が許されているのでしょうか。
その理由としてはUAがオールデン社と親密な関係を築いていることが挙げられます。
オールデン自体が多くの企業から助けられ,今尚ブランドとして残っているのは多くの支援者がいた為とされています。
因みに「トムラスト」の名前はオールデン社の会長(2004年当時)の長男トム・ターロー氏の名前を取ってのラスト名になります。
【Brooks Brothers限定?ラスト】
オールデンと同国のブランドで世界最古の紳士服販売店であるブルックスブラザーズはオールデンと深い関係を持っています。
オールデンは1884年創業の老舗ではありますが、1950年頃までは小さい一地方の靴メーカーでした。
しかし一躍オールデンの名前を飛躍させるキッカケになったのはブルックスブラザーズとの提携によるものです。
1948年にオールデンが作り上げたタッセルローファーをブルックスブラザーズが受け入れた事により、一躍アメリカ中に名前を知られる様になりました。
今でもオールデンとブルックスブラザーズの関係は途絶えることもなく、ブルックスブラザーズの店頭にはオールデン製品が並びます。(数は減りましたが・・・)
ここで本題ですが、ブルックスブラザーズのオールデン製品にはオリジナルでは無いラストが使われています。
しかしながらそのラストは公表されてはいません。
オールデンの定番モデル「990」プレーントゥに使用されている木型は、バリーラストという少しぼってりとしたシルエットの物ですが、ブルックスブラザーズ別注の「A765」という同じタイプの物はバリーラストでは無く、感覚的には少し細めのバンラストが使用されていると感じます。
恐らくですが、木型を入れ替えて使っている可能性が高いでしょう。
②デザインの違い
デザインに関しては基本的に別注品であっても変わることはありません。
しかし前述で出てきている「ブルックスブラザーズ」別注品に関してはデザインが一部変更されています。
先程も例で挙げているオールデンの定番靴である「990」ですが同じ様なデザインであるブルックスブラザーズの「A765」のプレーントゥに関しては「鳩目」と言われる靴紐を通す穴の外側に鳩目がついている「外鳩目」のデザインに変更されています。
他にもブルックスブラザーズ別注品のローファーは「アンラインド」と言われる芯地も裏地もない仕様のモデルも出ておりオリジナルより手が込まれている物もあります。
③インソールの違い
インソールは靴の中敷きの部分です。
インソールのデザインに違いがありますのでそこも見ていきます。
オリジナルと別注品との違いです。
右のオリジナルは見ての通りAldenの刻印だけですが、左のUA別注品に関してはUnitedArrowsとAldenのダブルネームで刻印されています。
多くの別注品にはダブルネームで刻印がされているのですが、オールデンの名前もない別注品も実はあります。
BrooksBrothers×Alden別注品
先程も出てきたブルックスブラザーズですが、ブルックスブラザーズの別注品に関してはオールデンの名前は入りません。
国内のセレクトショップのトップである「SHIPS」、「BEAMS」、「UNITED ARROWS」、「TOMORROW LAND」でさえもオールデンの名前を抜きにした別注品は作ることが出来ません。
上記の写真のようにブルックスブラザーズの別注品に関してはオールデンの名前は入りません。
この理由は主に二つが挙げられます。
- Aldenの創業年よりBrooks Brothersの創業の方が古い為
→Alden (1884年創立)、Brooks Brothers(1818年創立) - Aldenの名を広めたのはBrooks Brothersだった為
この二つの理由からブルックスブラザーズのオールデンには名前が入ることがありません。
④素材品質の違い
多くのオールデン愛好者の方の中で話題になるのが品質の差です。
品質といっても「作り」ではありません。
アメリカ製品の作りは国産に比べ綺麗とは言えません。靴の場合稀に左右でサイズが若干違う場合もあります。(それがアメリカ製の味とも言えるのですが・・・)
しかしながら原材料である「革」に関しては天然素材故品質の差がどうしても出てきてしまいます。
では本題の「オリジナル」と「別注」の品質の差はあるのでしょうか。
結論:革質の差はあまり無い
あくまで個人的主観にはなりますが、正直あまり無いです。
オールデンはブルックスブラザーズ別注品に関して一番良い物を使っているとよく言われますが、私の所有している物で飛び抜けた物は見受けられません。オリジナルとも変わりないです。
元々革質自体が年々落ちている状態ですので過去の物と現代の物で変わることはありますが、現行品に関してはそこまで気にする必要はないでしょう。
最後に
色々とオリジナルと別注品を比べましたがいかがでしたか?
オールデンは多くのお店で見る機会がある為ぜひ見比べて頂けると幸いです。
当店では靴磨きや靴修理、オーダーシューズの取り扱いも行なっております。
靴に関することでお悩みありましたら、ご気軽にご相談くださいませ。
オーダースーツ専門店 サルトクレイス
多田羅
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