Stylist’s Note
History – 歴史
一説にははじめて生地見本帳、いわゆるバンチブックを作ったのは世界的なマーチャント(毛織商社)「Scabal – スキャバル」だといわれています。
バンチブックをつくることで、仕立て職人や仕立て屋が生地をストックしておく必要がなくなり、コストの低減につながり一気に広がったとのことです。
サルトクレイスでも反物の生地見本やお仕立済みサンプルもございますが、よりたくさんの種類(3000種以上)から生地をお選びいただくことができるのはバンチブックあってこそ、なのです。
Types – 種類
バンチブックには大きく二種類、ひとつは生地メーカー(ミル)自身が作るブック、もうひとつは生地商社(マーチャント)が作るブックです。
生地メーカー自身のブックは当然そのメーカーのブランドの生地のみに特化しています。例えば「Ermenegildo Zegna(ゼニア)」や「Loro Piana(ロロピアーナ)」、「VITALE BARBERIS CANONCO(カノニコ)」などです。
一方商社のブックでは、シーズン毎に仕入れた生地をブックにまとめます。
そのため、トレンドなどを意識したバンチもございます。
Addicted to it – 京都店スタイリスト 泉より
個人的にバンチブックを見るのが三度の食事より、、いえそこまでは申しませんが好きです。一枚一枚めくっていくごとに様々な生地が現れ、妄想と想像が広がります。コーディネートはもちろん、デザインや仕様をアレコレ頭の中で巡らせます。
この生地でどんなネクタイとシャツを合わせるのか?この生地でジャケットはシングルかダブルブレストか?この生地でラペルはノッチかピークか?この生地で裏地やボタンはどうする?等々。
キリがありません。
ですから毎シーズン、店舗にバンチブックが届きますとソワソワ、ドキドキなのです。
しかしながら一番楽しいのは、バンチブックをお客さまとご一緒に、ワイワイ、ワクワクしながら気に入っていただける生地を探しているときです。
バンチブック一冊には様々な夢がつまっているようです。
2019年秋冬のダローデイル
2019年秋冬のフラッテリ・タリア・ディ・デルフィノ