オーダースーツ屋が失敗した自分のオーダー

いつもサルトクレイスのブログをご覧いただきありがとうございます。
また更新が少し滞りがちです。
ここ数回はスーツの好みについて言語化しようとしました。学生時代のレポートを思い出すほど労力を使いました(それ以上に)。
もう少し手軽に書きたい、そこでAIを活用しようかと。普段あまり使うことがないですが便利ですね。
そこで勧められたのが失敗事例なので素直に今回はそれに従おうと思います。
スーツ
初めはスーツから。
1.キッドモヘア混スリーピーススーツ
デザイン面、好みの点で失敗があります。
デザインについてはジャケットのフロントカット。極端に閉じすぎました。実験的な側面もありましたが、やり過ぎはよくない典型例です。閉じたフロントカットが好みであっても程よく開いたもので丸みを感じられる方がいいですね。
好みについて先述のフロントカットも好みであると言えばそうなのですが、より好みの失敗。
第一にダブルブレストのベスト。「あ、自分はあまり好きではないんだな」と気づきました。華やかさがあるダブルブレストのベストは結婚式に着ていくスーツやパーティーに着用するスーツとして優れています。場面を限定して作っていればまた違った感想であったかもしれません。
次に生地とボタン。キッドモヘア混の生地は上品な光沢と夏に最適な薄さ、清涼感ある貝ボタン。仕上がり、着用し、1日を過ごす。あまり好きではないんだなと気付かされる・・・
見た目は美しいし、文句もないんですが、ただただ、好みではない。ダブルブレストのベストもそうなのですが、あまり華やかなものは好まないのでしょう。
作ってから4年が経とうとしていますが、そろそろ活用したいのです。ボタンを変えツーピースとして着ることになりそうです。
ジャケット
続いてジャケットでの失敗。
1.ハイツイストウールのネイビージャケット
こちらはボタンの高さでの失敗。高くし過ぎました。やはり何事もやり過ぎは良くないですね。ジーンズなどにも合わせようと考えていましたがボタンの高さとジーンズの股上のバランスがしっくり来ず追加でトラウザーズを作りました。

気にならないと言えば気にならない程度。意匠の範疇と言えばそうなのですが、気になってしまうと気になり続けるものです。ボタンを高くかつ腰ポケットを高くするなら裾をもう少し開くのも手だったかもしれません。あるいはゴージの高さ。

単純な解決策が丈を詰めること。こうすることでバランスを変更することができます。腰ポケットが低い場合は調整ができませんが高い場合は調整ができます。
ネイビーと黒を撚り合わせた杢糸で織られた生地の表情は豊かで好みなのです。そのまま着るか着丈を詰めるか検討中です。
2.モールスキンのジャケット
こちらは仕様で失敗。学生時代にモールスキンのワークジャケットに惹かれ、スーツでもオーダーしました。ワークジャケットに倣い裏地を極力排除しました。少なくとも袖裏は排除しない方が良かったと感じる結果に。袖裏を付けない場合、滑りが悪くなるのは当然で、それを理解した上で付けなかったのですが、「ならワークジャケットで良くないか」そんな考えが浮かんでしまうのです。
カジュアルなモールスキンの表情は他のスーツとの差別化には十分に成功しましたが、ワークジャケットが競合になった結果、着用機会があまりないことに。

厚手のコットンにミシンステッチ。パッカリングが出たりと雰囲気は抜群です。パッカリングを最大限楽しむためパッチポケットにしましたがデザインはあまり好みでありませんでした。

生地の質感がダイレクトに伝わる反面、動作に応じた摩擦が絶え間なく襲いかかります。肩周りと首には裏地を残しておいた過去の自分を褒めてやりたいと思います。
ジャケットでの失敗としましたが、トラウザーズも含めたスーツ(セットアップ)で作りました。トラウザーズは便利でジャケパンスタイルでの着用機会は多めです。
しかしながら、スーツを着なければならず、わかりやすくカジュアルである必要があるとなれば、この一着を選びます。
3.ツイードジャケット
しっかりとしたツイードジャケットは5年ほど着ていますがまだまだヘタれる様子がありません。着用機会も多く失敗例に挙げるのもどうかでありますが、こうしとけば良かった点はあります。
まず第一にツイードジャケットとして細めのバランスです。フロントボタンを留めるとなるとシワが入ります。ストレスを感じるまではないにしても何かの動作の際に引っ張りすぎないかと心配になります。ただ、制作時からスリムなジーンズにも合うようにと考え、細めにフロントボタンを留めないバランスで着丈も短くしました。この点に関しては適度に都会的にすることができたので良かったと考えています。

トルソーに着せると驚きを禁じ得ない細さでした。スリムフィットのジーンズを合わせることをメインに考えていたのでそれとはバッチリでした。

初めて他のジャケットの袖と重ねました。視覚的に細さを感じると一種の感動さえ覚えます。この上生地が厚手であることを理性的に考えると「セーターを着るときつい」は当たり前であると納得します。
ただ、袖を細くし過ぎました。シャツのみの場合は問題がないのですが、セーターを着ると動きにくくなります。正確には肘を曲げた際の屈曲部分の圧が凄いです。防寒性を取るかストレスフリーを取るか悩まされることもしばしば。生地の硬さを考慮するべきでした。
シャツ
シャツに関してはサイズ感を色々試していてここ失敗だったかなというのは極端なことをした場合が主です。他は生地特有の問題、そう縮み。驚くほど縮んだものがあり、もう少し大きく作っていればと思わずにはいられません。
1.リネンのシャツとタイプライターシャツ
失敗事例として挙げるのですがそれなりの頻度で着用しています。共通して縮み過ぎた問題です。記憶上それぞれ乾燥機にかけたこともあるのでそれも影響しているかもしれません。リネンは縮むイメージがあったのである種の納得感はあるのですが、タイプライターは驚きと悔しさがあります。乾燥機等の手入れも良くなかったと自分に言い聞かせています。

白シャツに白シャツを重ねて申し訳ございません。下の白シャツは着ていて不具合はないものの着ると細いなと感じるくらいには細め。そこからさらに細い。しかし本題は脇下。

照明と漂白の失敗での色にご容赦ください。胸周りのサイズが横に縮んでいる上に縦に縮みシャツが脇に食い込むように。これによって対して厚みのない胸筋がアピールされることに。

タイプライターと比べると身巾の縮みは控えめ。ただ確実にスリムフィットのシャツより小さいことがわかります。

肩周りの縮みが著しくタイプライターほどではないがやや脇下が食い込む着用感が生じる。乾燥機に投じたことを深く反省しています。
縦の縮みは覚悟していましたが横方向の予想以上の縮みは想定外です。これらの生地は最初は少し大きいのではないかと思えるサイズがいいですね。
2.ワイドなシャツ
シャツでもやりました。極端なこと。身巾を大きくし、その上で袖を太くしました。雰囲気はバッチリです。古臭い感じが出ていいですね。しかし、ジャケットとの相性が良くなかったです。全てのジャケットとの相性が悪いわけではなく、鎌が浅めのジャケットとの相性が良くなかったです。アームホールの大きいシャツがジャケットによって体に寄せられると袖口が上に引っ張られ、タイトにしている袖が上腕で引っかかります。ストレスです。

新しい比較対象の登場ですみません。やりすぎていないゆったりしたフィットのシャツと比較。身巾で比べても2〜3サイズほど大きいです。

タイプライター、リネンシャツと比較していたスリムフィットのシャツ。またも白に白で申し訳ございません。胸周りで20cm弱の差があり、スリムフィットとリラックスフィットでも通常ここまで差はつけないです。

身巾も違いは当然ながらアームホールの大きさが大きく異なり、脇下があまり過ぎる結果に。動きを阻害しないためには同様にアームホール、胸周りにより余裕が必要になってきます。
ワイドなシャツを着たいと言ってもやり過ぎはやはり良くなく、ジャケットとの組み合わせについても思慮が足りていませんでした。
失敗を振り返って
振り返るとやり過ぎたことが主な原因です。見た目などは個人の感覚、好みによっても大きく左右しますので一概には言えません。ただ着心地はその服に手が伸びるかどうかに影響するので重要です。ジャケットの袖裏、硬い生地の袖の太さ、ワイドなシャツのバランスは着ている際の快適さに直結するので注意が必要ですね。ただ、トレードオフとして得られるものもありますので生地感をより感じたい、スリムな袖がいい、ワイドなシャツの雰囲気を堪能したい場合にはそうすることもいいでしょう。
オーダースーツ販売員として
無難な範疇だったり、好きであることが明確なもののみで作れば自分のもので失敗することはないでしょう。ただ色々と試すことで自分の言葉で提案することができるのでその幅も広がるのではないかと考えています。今回挙げたような失敗が活きることはそれほど多くありません。しかし、お客様のスーツで想定外が起きないようこれからも色々と試し続けたいと思います。
