ドラゴの「スカイフォール」でオーダーしようと思います。
さぁ、いよいよ気温も下がり手持ちのスーツや靴、洋服の入れ替えのシーズンが到来したのではないでしょうか。
去年買ったばかりのスーツをリペアする方や、職場のドレスカジュアル化がより強くなったので、ジャケット、パンツスタイルに戸惑っておられる方も多いのではないでしょうか?
本日は1年9ヶ月振りに私的スーツをオーダーしたので踏み込んだディテールや経緯をご紹介致します。
これから秋冬スーツのオーダーをご検討の方の参考程度になればよいかな、、と思います。
どう見られるかイメージを膨らませる
ブラウンのグレンプレイドかグレーのフランネルでずっと考えておりました。ただし、従来のヘビーウェイトのフラノではなく、あくまでも軽くて暖かい生地をテーマにしておりました。
グレンプレイドで作るなら、生地が特徴的であること、5年は着れる仕立てに拘ること、中庸であることを軸に動き出しました。
どう見られたいか、、、、、、。これって大きなポイントですよね。
かっこいい、とか、女性目線とか、誠実さとか、なんらかのカリスマの様に見られたい、とか、果たして似合うのか以前に潜在意識の中でこのような選択をしてしまうのが人間の深層心理ですよね。
※おしゃれにみられたいから※→これは一番多いのではないでしょうか。
なぜ、おしゃれに見られたいのでしょうか。
本当におしゃれと呼ばれている方々はそのような事は考えてないと思います。
特にドレスクロージングとなるとある程度のルールがあるので随所に統一感が必要になってきます。
結論、、、、。
自己満足だけの洋服なら20代の学生生活で十分楽しんだので、ス・ミズーラではあるものの30代も半ば。目上の方に褒められるような良き雰囲気とクラシックを追求した正統派で自己を律するスーツにしようと思いました。
服地を選ぶ
いよいよ服地選びですが、とても迷いました。(安いお買い物ではないので)イタリア好きというのは関係なく、DRAGOはずっと気になっておりました。
知人からもイタリア生地の割にはシワになりにくいと聞いていたのでひっかかっておりました。
バンチブックと呼ばれる生地見本を何周もしたところ、ようやく見つかったのが「DRAGO」Skyfall「スカイフォール」180Sです。
007スカイフォールでボンド(ダニエル・クレイグ)が着用していたスーツがドラゴ社の生地を使用していたため、こちらのネーミングがついたようですが、個人的にはそこに魅力はなく、奥行きのあるグレンプレイドと軽さに惚れました。
(巷のパターンオーダーシステムでは直線縫いも難しそうな気もします。縫うことが出来ても纏えないでしょう。そもそもこういった生地は胸に何層も芯を入れて作りません。接着芯も構いませんが繊維本来の質を活かせません。すいません。)
手触りも直球ど真ん中ですね。従来の英国的なバス芯では絶対に重たい仕立てになるので、目の詰まった柔らかな芯で精密に仕立てようと思います。
原点回帰を念頭にナポリの根源である3つ釦段返り仕様、バルカポケット+パッチポケットでディテールは決定しました。
何度か製作経験のある弊社のハイグレードラインですので慎重に業務遂行します。仕上がりが楽しみですね。出来上がりはブログにてアップ致します。
シルエットの構築
最後は肝心のサイズです。体重の変動はあまりないですが、職業柄気分の変動は大きくあります。
肩幅や袖丈、着丈、とかの問題ではなく全体の雰囲気で出力したく思います。
そうなるとスラックスから採寸しなければジャケットの方向性が定まらないです。
僕は短足でO脚なのでウエスト位置は高いほうが寸法上では綺麗に見えると考え、2タックでクラシックを継承した深めの股上に決めました。
但し、膝幅から裾幅はややテーパードをかけた数字にします。時代性を取り入れたシルエットですね。
なぜテーパードに拘るのか?
ややラウンドしたアメリカ臭い靴しか所有しておらず、好きだからです。アメリカントラッドと呼ばれる日本独自の造語も20代で吸収し、その名残があるのでしょう。
スラックスの裾幅と革靴のサイズシルエットはとても密接で、この2つのポイントを間違えてしまうとミステイクに繋がります。
今回は全体を捉えるスーツ作りを前提に製作しましたので仕上がりはまたアップ致します。
いざ作ってしまうと仕上がりまで待てない精神状態になります。
お客様の気持ちがよくわかります。
また、スーツは「仮縫い」をするモノだという時代がタイムリーでは無かったので当たり前の感覚になっているのでしょうね。(今回は仮縫いはつけません。)