私がオーダーしたいスーツとトレンド予測(2021秋冬)
皆様こんにちは。
今夏は新型コロナウィルス感染の拡大、経済影響下でファッション業界、紳士服業界も大きな打撃と転換期を迎えました。
昨年打ち出された「クラシックブルー」も浸透する間もないまま、秋冬を迎える準部が整ってきたようです。
何度かブログでも記述しましたが、「スーツ」に流行はありません。ビジネスウエアとしての生産過多な日本では特にそうでしょう。
微妙にディテールやシルエットが変化しながらゆっくりとした速度でトレンドの傾向が変わります。
さて今季の秋冬オーダースーツは一体どんな傾向になり、どこまでビジネスシーンまで落とし込まれるのでしょうか?
今季オーダーするならこのサイズ感
オーダーを製作する際に重要なポイントであるサイズ感。固定概念が強すぎると凝り固まったサイズ感になりがちなので、時代性も考慮しながらいくつかイメージを膨らませています。
ここ数年で香港やソウルの「クラシック再燃」の概念も大きく変動してますね。特に韓国はまだまだ業界としても整備されていないショッピングモールや都市が入り組んでるのでこれからどんどん若手テーラーが増えるかもしれません。
ヒップから太もも、膝にかけては適度にゆとりのある、節度あるシルエットが良いでしょう。良い仕立てとドレスクロージングとは、そういうものです。
インタックで脇ポケットは縦に切り込まれた英国調は引き続き継続ですので、昨年と大きな変化はありません。
真っすぐにクリースを落とすなら、くるぶしあたりのノークッションでないと成立しなくなるので注意が必要です。
ジャケットはしっかりと首に沿うように何度も話し合いながらオーダーする過程も楽しんで頂ければと思います。
肩パットは薄手のものを選ぶと良いです。クラシックが勢いを増すと本来はモードブランドやデザイナースブランドも独自のアプローチ方法でジャケットやパンツスーツを展開しますが、経済状況や社会情勢の変動により昨今はよりマス層を意識したデザインが多くなってますよね。
下襟はより傾斜の強いゴージラインがいまの気分でしょう。正統派に戻りつつある流れを汲み取り細かなディテールの違いでも見逃さず制作にあたりましょう。
肝心なサイズですが、やはり大きすぎず、細すぎず、適正なゆとりが大事になってきます。
特にパンツのシルエットが変化している昨今ですので、ジャケットも連動して変化させていきましょう。40代、50代の男性は体型の維持にも頭を抱える時期ですので、これまでのスリムパンツから一変して、今一度原点回帰も良いかもしれません。
服地はこのブランドにしよう
夏はなかなか服地に拘る、というより、軽量かつ清涼感もあり、速乾性が優先されるかと思いますが、せっかくなので秋口は少し拘りの服地にしたいと思います。
イタリアベネト地方にある高級服地メーカーです。(ポリカルポ)懐かしく思われるお客様もいらっしゃるのではないでしょうか。
1945年に設立されましたメーカです。紡績から製織までを一貫紡で行なっており、工場内に原毛・糸・生地の検査施設を設けています。(ヨクキクセツメイ!キキアキタ!)
うんちくはどうでもよく、こちらの服地はスーツに詳しい方が選ぶ少々マニアックなブランドです。
ツイル系のグレンプレイドならわざわざオーダーしなくても??と思いましたので、ウール/シルクの混紡にしました。
定番と呼ばれるグレンプレイドですが、ところどころにネップっぽい織りがありザックリとした凹凸感があります。(イタリアメーカーがイギリスっぽい生地を製作しているので面白い。)
何よりも軽くて、暖かく、柄が普遍的ですので通年愛されます。
温暖化の国内ではこういった良いとこどりの服地はとても好まれます。現実的に昔ながらの分厚いツイードやフランネルのヘビーウェイトな服地は近年見なくなりました。
服地屋さんも世の中の流れに合わせてバイイングしているのでしょう。
トレンドの傾向はどうなるのか
英国調とクラシックをキーワードにドレスクロージングもここ数年盛り上がりを見せております。
今年の傾向を予測してみましょう。
上記のスタイリングは国内でも秋口は続きそうですね。80Sのフレンチアイビーや、機能的なスーツの着こなしが合わさって出力されております。
スーツにクルーネックTやボートネック等の軽衣料を合わせるコーデですが、今秋もハイゲージニット等をインナーに、エフォートレスなシーズンは続投しそうですね。
フレンチアイビーの流れが来ると、自ずとボーダーや丸首が連想されますが、イタリアでは今ワーク、ミリタリー以外にも、「アメリカ」の要素がとても多くMIXされております。
イタリア人がラルフローレンを着ているとこなど見たことないですが、もうそろそろ現実的になりそうでとても楽しみにしています。
デニム素材が再燃しているのはそういった要因があるので、秋口にはノンウオッシュのデニムシャツをジャケットに合わせてみましょう。
流行色の「クラシックブルー」のサファリですが、今秋までは続投されるかと思います。モノトーンやブラウン系を冬に持ってきたりするとハイクラスな着こなしを楽しめそうですね。
上記写真は夏用ですが、スーツの大きなトレンドとしては、このワイドピッチのストライプはかなりマストです。
恐らく、いろんなブランドからも発売されると思います。英国の波及から考えるとバンカーストライプ然り、ピッチ巾を変えながらアップデートされそうですね。
楽しみです。
肝心の「色」についてですが、昨年のモノトーン+イエローやマスタード、ピンクよりは少し、クラシックに近いカラーが出そうですね。
Vintage、military、classic、の流れから検証すると全体的にくすんだ、ヨーロッパの田舎町のような色彩感覚がビジネスシーンにも浸透するかと思います。
(ソウデ ナケレバ オカシイ)
実際にテラコッタ(レンガ色)やヴィンテージグリーンは若年層のレディースカジュアルにまで浸透しましたので。(コレニハ ビックリシタヨ!)
ドレスシーンではストイックであった、ブラウン×ブラックも当たり前の時代に。
ドレスからカジュアルへトレンドが流れたのか、カジュアルからドレスへ流れたのか定かではないですが、こんなにも密接した時代もなかなか珍しいものです。
それだけカテゴリーに垣根が無くなって来ていると言えるので、初心者の方は、まずはネクタイやチーフから取り入れても良いかもしれません。