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ハンドメイドのスーツを喰らう

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皆様こんにちは。

いよいよ関西は梅雨入りのシーズンですね。僕はジメジメとしたこの季節が一番嫌いです。

理由は雨が降る前に気圧の低下から、必ず片頭痛が多くなります。昨日はバファリンを4つ流し込みました(キケン)

雨があがると、虫が増えだし顔や足に直撃してきます。🐞

洗濯も乾きにくくなり、生乾きが多くなります。👔

お気に入りの革靴も洋服も出番を無くし、ベンチ入りするのもこの季節。👞

天然パーマなのでセットも整わず、毛先のカールも通常の2倍はねじ曲がります。(個人差あり)

なにひとつ前向きな時期ではない様な気がしますが、本日は京都店に眠っていま

した、意識の上がる「ハンドメイド」のスーツを発見しましたのでディテールも

含めてご紹介します。

素晴らしく、良い仕上がりなので、参考資料としてご閲覧ください。

目次

評価される Made in Japan

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ちょうど良い高さのラックがあったのでハンギングしてみましたが、しっかりと

前に振っているため袖の落ち方が綺麗です。

人体の腕の振りに合わせて袖付けを行っっているので、縦にカーブした様なシワ

が入っております。良い仕立ての証拠です。

手縫いのステッチって知ってますか?

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ボタンホールも手穴仕様※

画像の様にラペルの端っこにポツポツとした縫い目が見えますでしょうか。これ

は「手星」と言い、ラペルの端が経年変化で浮くのを防止するのが目的で、ハン

ドメイドですと、この様に見える形で入れる場合と、見えない様に入れる場合があります。

イタリアのサルトがよく使っている技法はこの手星です。日本のオーダーは大半

AMFと呼ばれるミシンによる入れ方が多いですが、手仕事が得意な日本の職

人も画像のように細かな縫い方は得意です。

表からは見えない秘密があります

下の画像には、「ひげ襟(ひげえり)」と呼ばれる縫い付けがあります。

襟がハネないようにするためにはこのような生地の折り返しが必要になります。

また、襟を立てた時のシルエットが美しくなり、上襟のサイズ調整ができるとも

言われておりますので、非常に手間のかかる「ひげ処理」仕上げこそがフルハン

ドスーツの証明と言われています。

上襟のサイズを調整することは滅多にありませんが、見えないところまで仕上げ

を怠らないという職人の一手間こそが良いスーツであるという証明になります。

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襟を返すとフラワーループも縫い付けてありました。

首に吸い付くようにスーツを丁寧に着てらっしゃるビジネスマンの方はおそらく

この仕様になっているはずです。

ネックポイントから肩先にかけて力が分散され、着ている感覚を忘れます。

ボタンは生地のテンションに合わせて縫い付けます。

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普段は何気ないボタンの縫い付けにも特徴があります。千鳥がけというボタン付

けの方法で足付きになるのでボタンが通常のかがりよりも掛けやすくなります。

シャツにも応用される細かな縫製ですね。

仕立てにお詳しい方はたまにご要望がございますので、遠慮なくお申しつけくださいませ。

何気ないポケットでも大切なディテールです

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イニシャルの「D」の文字に似たDカン縫い止めも手縫いです。

スーツの腰のポケットまではさすがにわからない、とおっしゃる方も多いはずです。
フラップに関してはアイロンワークの追及により、前身ごろに沿って極限にまで

平行に落ちています。玉縁も細く、神髄を感じます。

究極のバルカポケット

よくオーダーされる際に聞かれたこともあるかと思います、この「バルカポケット」、袖の「重ねボタン」然り、

クラシコイタリアを代表するアットリーニが発信した伝統的なディテールですね。

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よくみかけるこちらの胸ポケットですが、大半が「バルカポケットではないスー

ツ」が多いです。※販売側も情報の誤りは良くないですね※

ポケットの底辺が湾曲すらすらしていない、上辺だけが湾曲しているものが大半でしょうか。

画像のように上辺の端っこが折って縫い込まれてるものが本物ですね。

ふっくらとしていて、胸部に沿って立体的にエレガントに着こなしの演出をしてくれます。

マニカ・カミーチャ

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“マニカカミーチャ(雨降り袖)”仕様

特に南イタリア系スーツに使われる仕様なのですが、簡単に説明しますと

肩パットが入っているか入っていないかの仕様の違いになります。

スーツの肩周りはパット・芯で形成され男らしいシルエットや型崩れを防ぐ役割

等ありますがその副資材を排除し、より軽さや動きやすさを追求した仕様ですね。

好みの違いはあるかと思いますが、肩部分に独特の雨が降っているかのようなシ

ワを寄せ袖付をする”雨降り袖”。

シャツのような着心地のできる仕様として、“シャツ袖”と呼ばれます。

雨降袖、シャツ袖共に通常の袖付けに比べ、多くの生地を使用し”いせ込み”(平

面である生地を少しづつ、丸めるように追い込んで取り付けてゆく)により袖山

をふんわり仕上げてゆく作業になる為、肩の可動域も格段に増え、

袖側の生地を少しずつ縮めながら肩穴に縫い合わせていくわけで、非常に高度な

アイロンテクニックと縫製技術が要求されます。

この技法はナポリの手縫いスーツに必ず見られる技法であり注目のディテール、

今はもはや定番かもしれません。

肩のパットに合わせ胸元の芯地も抜いてしまう仕立て(アンコン)で合わせると

より軽い着心地を体感できますが上記でも説明したように技術が必要な作業とな

る為、縫製ランク、生地によってはこの仕様に向かない物もあります。

あまり艶っぽい生地にはできるだけスーツとしての雰囲気を大切にしていただき

たいので一枚仕立てではあまりオススメはできません。

コットンや麻に代表されるカジュアル素材であれば最大限に特徴を活かす

ことができますので是非とも試していただきたい仕様となります。

身返しはどうでしょう

それでは最後は身返しに注目してみましょう。

しかし、凄いですね。

凄いですよ本当に。

本格派のテーラーリングでないとこの揉み玉は作れません。

揉み玉とは、左内ポケットの上にある、チケット(切符等)入れポケットで、松葉

カンヌキはポケット口を飾る刺繍です。見た目が松葉のように縫われてます。

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台場箇所、縁、これでもか、と言わんばかりに手星が施されております。

現代の「クラシック回帰」「原点回帰」のテンションもディテールとして取り入

れる程度は良いですが、今一度「made in japan」を見つめなおし、 目には見

えない大切なモノ作りと向き合ってみてはいかがでしょうか。

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