体型カバーできるレディーススーツの選び方のポイントと着こなし術
スーツを着るたびに、体型が気になるという悩みを抱えている女性は少なくありません。
しかし、体型カバーを意識したスーツ選びと着こなし術を身につければ、自信を持ってスタイリッシュに装うことができます。
この記事では、体型カバー効果の高いレディーススーツの選び方から、プロが伝授する着こなしのポイントまで徹底解説します。
ビジネスシーンからカジュアルな場面まで、どんなシーンでも安心して自分を魅力的に見せるコツを学びましょう。
体型カバーに適したレディーススーツの選び方
男性よりも体型変化と維持が重要な婦人のスーツ。
センシティブなポイントも多く慎重に進めなければ難易度が高くなるのが婦人のお仕立てです。
ファッション性に特化したスーツも良いですが、TPOをわきまえてここでは正しく綺麗な、体型をカバーした婦人スーツの作り方をご紹介します。
ジャケットの選び方
まずは一番のコンプレックスな要素を店主に伝え、対応が可能かの判断をもらいましょう。
首の付け根のツキ皺、年配女性に多い猫背、なで肩による皺の解消が先決かと思います。
バストを強調させたいのか、あまり目立たないように前身頃を多くとるのか、曲線的な女性体型はとてもヒアリングが必須でしょう。
ヨーロッパと大きく違い、日本の女性は「服を仕立てる」という文化からかなり乖離しているのも現実です。
どうしても既製品がメインな文化だからです。
「服地選び」「お洒落」「かわいい」「女性的」等の抽象的なディテールはその後でも十分にビスポークできますので一度スーツを作ってみる、という選択肢もおすすめです。
ウエストのシェイプを意識する
女性的なシルエットを構築されたい方はウエストに沿って身頃を形成しましょう。
メンズでも同じ事が言えるかと思いますが、まずは目的意識を共有し、話し合う事が重要です。
丈の長さとバランス
シングルブレストかダブルブレストかによっても大きく変わると思います。
また昔はパターンも少なかったため、パネルダーツの入った丸みのあるショート丈=婦人のスーツ。
という様な風潮も長く続きました。
ボトムスの選び方
最も重要な課題がボトムスです。
「組下」や、「パンツ」、「スラックス」と呼んだりします。
メンズ同様にまずはボトムスを構築しないと最終ゴールを見失ってしまいます。
「ブランドを真似したスタイル」「体型カバーができれば良い」「とにかく女性ラインを強調したシェイプ」。
今回は体型カバーであれば、下半身のコンプレックスを隠せるようなストレート、ワイドがおすすめできます。
パンツのシルエットと体型カバー
骨盤から下半身が華奢な方や自信のある女性であれば「テーパード」でも対応可能ですが、出産を終えた方や、どうしても骨格が重たい女性も現実に多くいらっしゃいます。
そういった方はもも周りから膝、ふくらはぎ、足首にかけてワイド型を意識したり、足首まで直線的に落ちるようなパターンが良いと思います。
スカートの選び方と注意点
Aラインやボックス、台形のスカートが可動域もありリラックスして着用できます。
パンツ同様に身体のコンプレックスからまず隠していくように形成しましょう。
ウエスト位置の工夫
こちらは今回のテーマの中で難易度MAXではないでしょうか。
先述の理論からいくと下半身が大き目の婦人であればワイドやストレートパンツといったシルエットが基本的ですが、テーパードでも方法はございます。
ウエスト位置を高めに設定し(股上を深くとる)メンズライクなワイドタックパンツですと絶妙に落とし込む事が可能です。
素材と色の選び方
ウールだとオフィシャルに近いものになり、コットン、リネンですとドレスダウンしたスタイルになります。
最近はヴィンテージやヘリテージといったテイストが見直されておりますので、時代に合わせて選定ください。
ピンク、ベージュ、ライトグレーなどは膨張色ですのでご注意ください。
素材の質感と体型カバー効果
光沢が強い服地よりは表面に凹凸のあるほうが陰影がつきやすく、シルエットをカバーできる質感になります。
伸縮の強いものよりはシルエットをなるべく構築、維持できる質感にしましょう。
色の選び方
ブラックやネイビーは色彩的にソリッドになるため、体型をカバーします。
ピンク、明るいグレー、ブラウンは代表的な膨張色ですのであまりおすすめはできません。
パターンと柄の取り入れ方
たとえば、「明るみのチェック」等は「膨張色」+「格子柄」といった視覚的にも太って見えますので、気を付けましょう。
またドット柄や主に輪郭の丸いデザインは極力控えましょう。
基本的には柄物というよりはパターンを重視して仕立てましょう。
テーラーメイドの中で最も重要なのがパターン(型紙)になります。
縫製前の、骨格を形成する図面のようなものです。
革靴の「ラスト」と似た認識で、パターンがズレ込むと、どんなに高価な生地でも着心地の良い服は作れません。
体型カバーを意識した着こなし術
ここでは体型をカバーした着こなしの選び方や、シルエット、テイストも含めてご紹介できればと思います。
アウターの使い方
タイトフィットというよりは攻めすぎずに守りすぎない、間(ま)を狙って製作しましょう。
オーバーサイズでテイストに振り切ってしまう手法もありますが、肩幅や袖周りは正しく可動域の出るようにパターンを御願いしましょう。
またメンズよりも「カジュアル志向」な感覚で選ばれるのがレデイ―ススーツ文化の価値観でしょうか。
型紙や寸法、着心地より「生地選び」「釦選び」「デザイン選び」に時間を要するのもそういった背景がありますね。
「なんとなく」「かわいい」「綺麗」というのはご本人様の中にある意識であり、直接的に体型をカバーができるとはまた意味合いが異なりますので、まずは、どういった場面で、どう見られて、どんな自分であるか、の共有をしてからデザインを選ぶとアウターの着こなしに失敗はないかと思います。
シャツとブラウスの選び方
長年続いたダーツやフリルといったいかにも。。。な量産型レディースシャツはあまり現代では取り入れないほうがよいでしょう。
経済が盛り上がると洋服もデザイン性がつよくなったり、ブライトな着こなしが流入されますが、ここ10年でデザイン性の強い洋服が際立って売れているような印象はありません。
どうしても下向きな経済情勢ですと、保守的になっていくものです。(年齢とは別に)。
エフォートレスでオーバーサイズな着こなしが若者を中心に流行していますが、趣向と個性が分散した現代ですので、あまり参考にはなりません。
体型カバーに注力したいのであれば、肩回りはしっかりと整っているシャツ、ブラウスの方が、ドレスシーンでは大人っぽく、感度も高い印象です。
小物の使い方
どうしてもアウターに白やピンクといった膨張色の着こなしがお好きであれば、濃い色彩のスカーフやインナーで中心を引き締めましょう。
体型別おすすめレディーススーツコーディネート
最後にスーツの製作側からの視点で、「体型別」のレディースオーダーのおすすめを分析できればと思います。
先入観を失くし、スタイルやテイストといった事ではありません。
あくまで、「体型や骨格に見合った型紙」のご説明になります。
ぽっちゃり体型向けコーディネート
ぽっちゃり、の概念はまず骨格が丸く、さらに筋肉も丸い付き方なのか、骨は無骨ですが、筋肉の付き方だけが円形なのかによって、ぽっちゃりの概念は違います。
前者であれば、エッジの効いたパターンで製作すると、普段より大人っぽくご自身を表現できます。
後者であれば、どちらにも振り分ける事ができますのでマイルドな仕立てにも対応できます。
前者であれば、ダブルブレストでメンズライクな仕立てにすると、かわいさと絶妙な艶感のバランスを図れる、と言うことになります。
後者であれば、袖付けを柔らかなイタリア調で持ち前の体型を活かしながら、身頃ではエッジの強いカッティングにしたりすると良いでしょう。
スリム体型向けコーディネート
スリムな方は基本的にどんなパターンも着こなしは増えますが、華奢さを追及しすぎたような作り方はあまり健康的ではありませんね。
高身長・低身長向けコーディネート
高身長の方はコンプレックスを隠すというよりは、長身で有ることを活かした方が一目置かれるシルエットを構築できます。
ただしよく見かけますのが、女性はまだまだ既製品でのスーツ購入を主軸とされるので、袖丈、着丈といった「縦軸の寸法」が足りていない方も多いですね。
本来であればデザイン性の高いビスポークスーツで御願いすると良いと思いますが文化の差は仕方ありません。
低身長であれば、「より長身に見えるポイントや面積を増やす」ようにしましょう。
まずはパンツ選びですが、股上も浅く体型が分かりやすいテーパードではなく、股上も深く、ボーイズパンツやフレンチパンツの組下を取り入れるようにしましょう。
またオーダーメイドであればしっかりとニュアンスを汲み取ってもらえるような人に御願いしましょう。
(自分だけの専属デザイナーを探すイメージで捉えてください。)
HPや、知人の紹介、SNS媒体等、現代はリサーチの幅は広がっていますので、感覚派の方は電話や対面にて問い合わせしましょう。
シーン別体型カバーレディーススーツの着こなし
最後にシーン別での選び方です。
休日のお洋服であれば好きなものを着て、好きな人に会い、好きなところに行って、好きなものを食べてもらって構いませんが、オフィシャルでのスーツ選びは品格の差が出ますので注意しましょう。
カジュアルシーンでのスーツの選び方
コロナ以降、オフィスカジュアルの浸透は強まり、特に女性に関してはほぼビジネスカジュアルです。
そんな状況下でもドレッシーなスタイルを重要視する方が増加しています。
ヨーロッパほどジャケットが趣向品と捉えられるまでに及ばなかった日本ですが、分散されているのは事実です。
根本的なポイントはドレスシーンと変わらず、一番のコンプレックスが解消できるパターンを選ぶ、または作る。
組み合わせでカジュアルを演出できればあらゆる着回しも楽しめると思いますよ。
フォーマルシーンでのスーツの選び方
改まった場所や格式のある空間というのは非常に心地も良く気が引き締まるものです。
これだけ洋服が普及して何世紀もの時代を越えているのに、レディーススーツのデザインは「英国一辺倒」な気がします。
最近になってアメリカントラッドの流入も増えましたがまだまだ普及は難しいのでしょう。
そもそもカジュアルまで落ち切ってから、ドレスにも流行が入ってくるので、選定は難しいでしょう。
そういった意味では総合的に、時代性を取り入れた、体型カバーのできるスーツを選びましょう。
現代であれば、肩パットも柔らかなダブルブレストやシングルブレストの需要も高まっておりますので、バストやウエストを強調するのではなく、フレンチパンツを組み合わせたりと体型をカバーしながら新しいテイストに挑戦してみましょう。
レディーススーツこそオーダーで
どうしても男性主体、主導のスーツですが、もうそんな懐古的な発想はやめましょう。
飽和する前に浸透しなかったレディーススーツこそ、まだまだ楽しみ方は無限に潜在しています。
またデザインや、見た目に拘る女性であれば、尚更ご興味を持つべきかと思いますので、是非一度レディースオーダーメイドの可能性を確かめてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は体型カバーとレディースオーダースーツの方向性を僭越ながらご紹介致しました。
ビスポークにまだまだ馴染みのない女性のカルチャーですが、サイクルの早い既製服に対してまだまだオーダーメイドのパターンが追いついておらず、また影響力も無いため難しく、出口の見えない課題となっています。
サイズやパターン以外にも「デザイン性」に拘った女性の売り手が少ないという事も現実的であります。
一辺倒なものが大量に売れてしまう時代ではなく、それぞれの個性が分散して根付いた場所に消費行動が起きるので、ご自身のイメージと商材のバランスや価格がマッチしたスーツを作ってみて下さい。