みなさん、こんにちは。
突然ですが、歴史は好きですか?(ほんとに突然です)私は好きな側面と嫌いな側面があります。白状しますと学校での歴史の勉強は嫌いです(※個人の意見です)ただ、暗記が苦手という理由からになりますが・・・。政治や地理を絡めた歴史は好きです。それぞれの国家や民族の思惑などが見えてくるのが個人的な好みです。先日は「逆転のイギリス史 衰退しない国家」を読みました。イギリス史を経済学でひも解く内容でした。学校での勉強をしっかりしていればもっと内容の理解が早いのだろうと思った次第ですが非常に面白いので宜しければ読んでみてください。
さて、イギリスと言えば何を思い浮かべるでしょうか。ウィンブルドン?(しつこくテニスネタ)ビッグベン?かの名探偵?私たちオーダースーツを扱う者たちが忘れてはならないのがスーツはイギリスが発祥であること。今回はスーツの歴史についてお話します。

スーツの起源-実用性を求めて生まれた-

今、皆さんはスーツについてどのような印象を持っているでしょうか。私の想像でポジティブな意見とネガティブな意見を勝手に挙げていきます。
〇ポジティブ
・きちんとして見える
・ダサくなりすぎることは稀(私服が難しい)
・かっこいい、気分が上がる(←完全に個人の意見)
〇ネガティブ
・機能的でない
・堅苦しい、窮屈、不自由
・時代に合っていない、前時代の産物
列挙していて悲しくなるくらいネガティブ意見の方がスラスラと出てきました・・・(念の為ですが、私はスーツ大好きです)。特にネット上ではネガティブ意見が多いように思います。私服での勤務がある種の自由を象徴しているように思います。機能的な面でいうと日本の高温多湿な気候は確かにきついです。特に蒸れるので湿度が高いとしんどいですね。機能性については後述します。
堅苦しい、窮屈、不自由という印象ですが、今のスーツの原型も堅苦しい服装からもっと楽に着れる服をと誕生していきました。食事ではしてはいけない話題があり、服装も決められていました。日本では馴染みがあまりないですが、ヨーロッパでは日に何回も着替えるそうです。仕事終わりにパーティに参加する際には着替えてドレスアップするといった具合に。ちなみに日本では少し華やかなネクタイをするくらいで十分だと思います。さて、服装を着替え夕食(ディナー)をする訳ですが、燕尾服を着る必要がありました。この燕尾服ですが、着用の際のルールが多く面倒に思いますが、後ろ裾が長かったりとリラックスして過ごすのにはとても窮屈でした。そこで後ろ裾を短くしてゆとりをとって生れたのがラウンジコートです。ラウンジというのは夕食後にラウンジルームという場所でタバコを吸いながら談笑していたことからです。夕食の服装についてはドレスコードがある場合もあるので現代でも残っています。
現在のスーツの原点であるラウンジコートも燕尾服が窮屈であることから生れた実用性のある服だったんです。

スーツの流行

スーツの原型が生まれた経緯についてお話しました。では、そこからスーツはどのように歩んで現代で疎まれているのでしょうか。スーツは流行に合わせて変わる箇所は

全体的なシルエットが最も多いです。このシルエットをさらに紐解いていくと

  1. ウエストの絞り
  2. 肩巾、肩パッド
  3. 着丈
  4. 衿の巾
  5. 釦位置
  6. 股上の深さ
  7. 裾巾

これを多いと捉えるかどうかは人それぞれです。簡単に各年代のスーツの特徴をおさらいしていきます。

  • 1920年代
    1920年代のスーツはウエストを極端に絞らず、ダーツもないゆったりとしたシルエットです。肩も今でいうナショナルショルダーが最も近いです。釦位置が高く中に着ているベストも合わせると狭いVゾーンになっていました。リラックスしたスタイルと言えるでしょう。
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    釦の数が多くVゾーンが狭くなるベスト
    かっちりさせたいときにおすすめです

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    釦の数は今主流の5つ釦

  • 1930年代
    リラックスした1920年代のスーツに対して構築的でメリハリの効いたシルエットになります。肩パッドを使ってビルドアップショルダーを作り、ダーツを入れることできれいなドレープを作ります。
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    シェイプさせるためのダーツ
    ウエストにくびれを作ります

    留めた釦から裾にかけて広がりを見せるジャケットになります。パンツはタックが入りウエスト位置からお尻廻りにボリュームが出ます。ジャケットの裾が広がっているのと合わさってつながりを生みます。イギリスのスーツと言われて多くの人が思い浮かべるのがこの年代のスーツでクラシックなスタイルと言われます。この年代まではベストも合わせたスリーピーススーツが基本です。

  • 1940年代
    この年代のスーツに大きな影響を与えたのが第二次世界大戦です。物資不足からベストがないスーツが出て来ます。この時代はスーツに限らず服は多大な影響を受けています。リーバイスのジーンズはボタンがドーナツボタンにされたり、ポケットのアーキュエイトステッチが刺繍ではなくペイントだったりしています(逆にプレミアがついていますが)すみません、話が逸れました。1930年代の構築的でメリハリをつけたスーツから新しい流行が生まれるとするとよりメリハリをつけたシルエットになるか、ゆったりしたシルエットに戻るかです。選ばれたのはよりメリハリをつけることでした。肩パッドを厚くし逆三角形を強調、パンツは股上が深く太めのシルエットでどっしりとしたものに。力強さのあるスーツでした。
  • 1950年代
    力強さを強調したスーツから流行は落ち着きをみせます。これといった特徴がないのが特徴です。特徴がなく、平均的なデザイン、ディティールになるのでベーシックな印象です。厚かった肩パッドも薄くなり丸みを帯びて優しい雰囲気に。また、パンツを固定する方法がサスペンダーからベルトへと移行します。ベストを合わせたスリーピースからジャケットとパンツのスーツのスタイルが多くなるなどクラシカルな印象から現代のスーツに大きく近づいた1950年代です。
  • 1960年代 力強さを出したあと落ち着きを見せ、今度は細身のシルエットで若さを出すようになります。逆三角形を作る為の肩巾がコンパクトになり、衿(ラペル)の巾も細く。
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    細めのラペル巾
    スッキリした優しい雰囲気に

    ここまで見ると現代の細身で作るスーツと変わらないのですが釦位置が違ってきます。低い位置に釦位置があり、Vゾーンの広い現代と比較して釦位置が高くVゾーンは狭いです。パンツも股上が浅くなり細身のものに。特に若い世代で流行を見せました。

  • 1970年代
    世は再び強調する時代へ。肩をしっかりと構築し、肩巾に対して太い衿(ラペル)ウエストをしっかりと絞り裾にかけて広がりを見せるように。
    IMG 0689 375x500 - スーツの歴史

    現代の主流より太めのラペル巾
    長い歴史で見ると平均的な太さでクラシカルな印象に
    この当時はもっと太いものが使われていました

    パンツは60年代の流れから浅めの股上に細身のシルエットが膝まで続くのですが、膝から裾にかけてフレアするシルエットに。イメージとしてはドラマ「太陽にほえろ!」などのスーツをイメージすると掴みやすいです。強調され、華やかさを持ったスタイルの時代です。

  • 1980年代
    流行は丸みを帯び、優しさを内包するスーツへ。いわゆる「ソフトスーツ」が流行します。牽引したのは誰もが知るあのブランドでしょう。肩は丸みを帯び、ゴージラインが下がり、釦位置も下がりました。パンツは股上が深くなりタックが入り腰回りにはボリュームがあるものの裾にかけて絞り込まれていくシルエットになっています。肩は丸みを帯びているものの巾を広く取ることが使用される生地も柔らかく優しい生地感のものが使われるように。
  • 1990年代
    20世紀が最後の年代、「100年ぶりの〜世紀末♪」「199X年、世界は…」とそれぞれ頭の中で再生されました。それはさておき、スーツはダブルスーツや3つ釦スーツなど今では中々見かけることのないスーツが主流でした。3つ釦は高身長の方でオーダーされている方や年配の方が長く着られているものでしかお目にかかれませんね。「何でも気になっちゃう、僕の悪い癖」(セリフ合ってるかは気にしないでください)と連想してしまいます。
  • 2000年代
    スーツは再び細身の時代が到来します。若さを出すというよりはエレガントさ、セクシーさを出すように。釦位置を下げVゾーンを広く、衿(ラペル)も細くなります。また、フロントカットを広くしウエスト位置などが見えやすいようにもなります。パンツは股上が浅く細身のシルエットへ。細くスタイリッシュなデザインへ。カジュアルでもスキニージーンズがメンズで流行するなどまさに細身全盛期です。
  • 2010年代
    書いてて気づいたのですが、2010年代も終わりを迎えようとしています(後1ヶ月ですね‼)カジュアルのトレンド「アスレジャー」の影響を受けます。もしかしたらスーツの方が早かったかもしれません。日本国内に目を向ければクールビズが浸透し始め、機能性がスーツに求められたことと相性が良かったかもしれません。ストレッチの効いた生地や洗えるスーツなど多様になりました。シルエットは細いシルエットのまま、着丈が短くなるなどスポーティなデザインでありながらスタイリッシュな印象になっています。活動的な印象も与えるのでフットワークの軽さなどが求められたり、ジェンダーレスの流れなど時代ともマッチしています。こういった背景から流行したのでしょう(個人の勝手な推測です)
  • 2020年代
    ここから先の流行はどうなるのでしょうか。数年前から英国調のデザインが取り入れられるようになっています。チェンジポケットや衿(ラペル)の巾が太くなりゴージラインが下がるなどクラシック回帰と呼ばれています。
    DSC 0299 scaled e1575197425147 250x500 - スーツの歴史

    最近人気のチェンジポケット
    上のポケットには小銭やチケットを入れる

    カジュアル化したスーツデザインへの反動でしょうか。今はまだ下火ですが本格的に流行っていくように思います(業界がそんな流れを作るでしょう)シルエットは細身で生地も柔らかい生地を使った優しく軽い仕立てが主流になるでしょう。イギリスの重厚な生地でなく伝統的なグレンチェックの柔らかい生地で肩パッドはなく、チェンジポケットで…が多くなるかもしれません(柄使いに関してはビジネスシーンに浸透しにくいです)この流れから次の流行を読むとよりクラシック回帰し重厚さを出すようになるか、よりカジュアルになっていくか、はたまた新しいスタイルが生み出されるのか目が話せません。脱スーツの流れが影響するでしょう。楽しみです。

流行に乗るか否か

長々とスーツの辿ってきた流行についてお話しました(後半は多分に推測、個人の考えが入ってます)この流行ですが必ずしも取り入れなければいけないのでしょうか。答えは「ノー」。特徴がとてもある時代のスーツを着ていると時代遅れの感じが出てきてしまいますが、普遍的なデザインを心がけると流行に関係なく長く着れます。エッセンスとして流行のデザインを取り入れるなどの付き合い方がいいと思います。もちろん、流行に乗っ取るのもOKです。普遍的なデザインとしておすすめなのは1930年代や1950年代あるいは2010年代のようなデザインです。それぞれクラシック、平均的な、スタイリッシュな印象を与えられます。特に1950年代のような落ち着いたデザインはそれをベースに自分の好みを反映させていきやすいです。流行に流されるのではなく、利用してやりましょう。

オーダスーツの活用

そろそろ締めに入りたいと思います。既製服と異なり、オーダスーツでは生地選び、デザイン決めができます。忘れてはならないサイズも(パターンオーダーではデザインに限界があります)デザインなどに関しては既製服は流行の影響を大きく受けます。今の流行があまり好きではない方や長く使えるスーツを検討リストされている方、自分の好みが確立されている方はオーダスーツがおすすめです。イメージしているスーツの写真やお手持ちのスーツをお持ち頂ければお店とイメージの違いが生まれにくいです。店員さんと話してみてイメージを共有できるかがオーダーが成功するかどうかの鍵です。

スーツの歴史についてお話させて頂きました。書き始めた時の構想よりかなり長くなりました。少しでも皆さんのお役に立てる情報が一つでもお届けできていれば幸いです。
では、またブログまで遊びに来てください。

サルトクレイス谷町本店:髙橋