リラックスしたネイビースーツ

サルトクレイスのブログをご覧いただきありがとうございます。
直近自分用に仕立てたスーツについて。かなりいつもと違うテイストで作成したので紹介したいと思います。
これまで着てきたのは例外なくビルドアップショルダーと呼ばれる英国スーツの代表的なディティールとされている肩のスーツ。肩周りがしっかりと見え、肩からウエストにかけての逆三角形のシルエットを強調していました。肩パッドの厚さや肩巾の広さなどで変化をつけたりしながら色々と試してきました。それを起点にバランスを取ったりしていました。
そのスタイルに飽きたわけでもなんでもないのですが特に夏のスーツに関してはもう少し肩の力を抜いた雰囲気にしたいと考えていました。
長々とした前置きをすいません。
テーマはリラックス
フォーマルウェアという位置づけにされているスーツにおいてリラックスが万人に当てはまるかは疑問ですが、今回の一着はそれがテーマです。
今回使用したモデルは普段よりゆとりがほんの少し大きめ。ただ、普段サイズ46などで作ることも多い中今回はサイズ44、特別な意図を持たずジャストサイズで作成する場合のサイズです。姿勢が正される着用感が普段のサイズ44。
今回のスーツは同じサイズ44でも姿勢を正すような雰囲気ではなくもっと自然な、楽に着られる一着です。

ナチュラルショルダー
見た目にもわかりやすいのが冒頭にも話しました肩周り。肩パッドはかなり薄手のものを入れています。肩パッドを入れないスタイルもありますが、シルエットの補強と着心地を考慮して肩パッドは自分にとっては必須。
見た目のリラックスした雰囲気に関しては普段着ているスーツと比べてのギャップもあり効果はバツグンで新鮮な体験をしています。とは言ってもあくまで相対的な評価です。よりリラックスした肩周りを求めるなら雨降らし袖、マニカカミーチャが適しているでしょう。
芯と表生地
表生地について、以前のブログでも紹介しているようにKUNISHIMA(国島)の2/1綾織生地です。他の夏スーツで持っているハイツイストのウーツ平織りやキッドモヘア混の平織り生地と比べるとしなやかで柔らかめです。ただ緯糸も双糸でハリ・コシもあります。こちらも特化しているというよりはバランスを取っている感じです。普段より柔らかさを重視した選択ですね。
さて、芯地についてですが、総毛芯仕立てですが、ポケットなどの補強を除き接着芯を使っていない作りに。サルトクレイスのブルーレーベルに該当します。これによりより柔らかく軽い仕上がりになりました。純粋に物理的に軽くなった他生地の動きを阻害する要素が減っているのでより軽やかですね。
決定打ではない
肩周りに関しては普段との違いがありリラックスを楽しむことができていますが、それが大きなファクターであるとしたならお客様にリラックス要素の強いスーツを案内していることになります。そんなことは決してありません。
写真ではわかりにくかったので簡単な図を書きました。

分かりにくい部分もありますがご容赦ください。青いラインと赤いラインですが青いラインが今回作ったスーツ、赤いラインが普段のスーツのイメージです。伝えたいのは青いラインの方が若干ですがVゾーンが横方向に狭く、ボタンの上の衿の交差点が鋭角になっています。
ここがこう違ってくるよね、というポイントはたくさんあるのですが、わかりやすいポイントとしてはそんな感じ。
胸元のたくましさが控えめになりますが、ジャケットが上半身を包み込む雰囲気。これが今回のリラックスしたスーツスタイルの肝です。
Other Details
その他のスーツのディティールについてご紹介します。
ジャケット

何の変哲もないシングルの2つボタン1つがけです。ラペルもノッチ。腰ポケットは蓋付きの両玉ですが最近は中に仕舞って着ることが多いです。その際は水平の方が水平の方が好きなので水平の腰ポケット。ラペルは広めにしていますがいつもよりコンパクトな印象です。

胸ポケットはハコポケットです。スーツの雰囲気に合わせるならバルカポケットの方が良かったのですが、チーフを挿す際はTVフォールドの方が多いのでこれがいい、といった具合。ラペル含めステッチは入れていません。AMFステッチを入れることによるメリットもあるのですが、見た目的にない方が好きなのでなしで。
前述のラペルの返しが中心に寄っているのでいつもより胸ポケットが見えるバランスです。
他のディティールはサイドベンツです。普段はノーベントも多いのですがかしこまりすぎるかなと考えサイドベンツに。
袖のボタンは3つにしました。個人的にあまり本切羽が好みではないのでボタンをつけただけ。飾りのミシン切羽もなしです。

少し寂しい気もするでしょうか。ボタンはネイビーカラーのナットボタンですがかなり濃いのでネイビーっぽさをあまり感じないです。ボタン糸にネイビー系を使いましたが少し明るすぎるのでもう少し濃いものに変えようと思います。
トラウザーズ
特徴としては股上が深めで太めのシルエット。

少しシワが気になるのでブレイシーズ(サスペンダー)でもう少し吊る方が良さそうです。ワタリ(太もも)はこれまで作っているトラウザーズと変わらない太さですがヒザを太くしたので太もも下部がとても楽です。裾巾は23.5cmと太めで仕上げはモーニングカット。テーパード具合はかなり弱めですが普段と比べると強めとバランスを変えました。

店頭のゲージ服と重ねました。同じ46サイズでワタリ巾は作ったネイビースーツの方がほんの少し太いですが、ヒザ巾位置になるとその差が大きくなり、裾に至るつれその差が大きくなっています。ヒザ巾が太くテーパードが弱めであることがわかりやすいかと思います。

バックポケットは片玉縁仕上げ。最近はほぼほぼこれです。両玉縁より繊細さを感じないのが個人的に好みです。脇尾錠は付けていますがブレイシーズ前提にしたのであまり使う予定はありません。無しでもよかったかも。ブレイシーズ用のボタンですが後ろのみ表側にも付けています。これは単純に着脱が楽というだけです。ジャケットあるいはウエストコート(ベスト)を着ると見えないですしね。

前立はボタン留め(ボタンフライ)。これに関してはロマンですね。ブレイシーズ用のボタンでは利便性を考慮したくせに早速矛盾しているようにも感じます。メリットというかボタンフライならではのポイントは留めるのとにどうしても時間がかかるのでゆったりとした所作になること、デメリットと表示一体です。あとはもし仮に壊れた場合に補修がしやすいことでしょうか・・・。
腰裏(裏地)はクリーム色。汚れが目立ちやすいという欠点はありますが、クラシカルな雰囲気が好みで純粋に柔らかいのが好みです。これまで作った数少ない(もしくは唯一)の統一している仕様かもしれません。

フロント部分はノータックですがダーツを入れています。これによってややゆとりが出るのと出っ張った腰骨を上手く隠してくれます。持ち出しは三角タイプにしました。帯巾を4.0cmと通常より太めにしているのですが、持ち出しがスクエアだとボタンの大きさとのバランスが気になるときがあるので三角の方がしっくりきます。ちなみに4.5cmの帯巾にするとボタンを縦に二つ並べることも。
ウエストコート

ウエストコートは衿付きの左右に胸ポケットをつけたもの。ボタンは6つボタンの6掛け。特徴的と言えば特徴的なのですがあまり言及するポイントがないといえばない。
ただただ、若干の体型変化に応じて少し大きくした程度。それでもオーバーサイズではないので普段のベストどんだけきついんだと感じずにはいられません。

照明もあってシワが目立ちますね。中のシャツの身巾が大きめであることも影響していそうです。
腰位置を完全に隠しているのでウエストコートを組み込んだスタイリングはやはり体型をきれいに見せてくれます。おすすめせずにはいられません。
総括
ジャケットに関しては夏なんかはこのバランスの方がいいかもと思っています。こればかりは夏を越えないと正確な評価はできませんがかなり期待できます。本当の暑さ対策は直射日光を避ける、吸水性吸湿性の高いインナー、帽子あるいは日傘でしょう。故に気持ちの問題です。本当は40度近い気温、35度といった暑さの日に外に出たらだめでしょう(長時間なって以ての外)。
リラックスしたと表題に書きましたが、ビジネススタイルとして全く問題なしです(私と丸っきり同じではなくトラウザーズはもう少し細めがおすすめ)。より軽い着心地は自然と手の伸びるワードローブに欠かせない一着になることでしょう。
サルトクレイス谷町本店 髙橋
