VENTILE®-高密度コットン100%生地でオーダー‐

暖かくなりそうでならず、何なら寒い気候に文句を言いながら春夏の服について妄想しています。
今回はVENTILE®(ベンタイル)生地を使ってパンツを作ろうかと。

VENTILE®の生地ですが、撥水性、それを発揮する要素として「高密度」が挙げられます。このワードに弱いんです。とても惹かれます。
撥水性をもつVENTILE®はコートによく使われているイメージです。高密度に織り上げているので防風性にも優れており、蒸気は出してくれるので熱がこもりにくい、コットン100%の風合いもあることを考えると最高じゃないかと思えます。
ただ、個人的にコートを着るタイミングでは熱がこもりにくいってあまり気にしないよな、と。一番感じられるのは?パンツか。
光沢のあるコットン生地に決めました
60/2ギャバジン

非常に強い光沢があります。今回選択したのがVENTILE®の60/2のギャバジンです。
せっかくなので光沢を楽しもうと考え、ギャバジンにしました。光沢がありながらウールとは異なる質感が仕上がりをより一層楽しみにさせます。
コットンでのオーダーの定番にLARUSMIANI(ラルスミアーニ)があります。光沢のある生地もあるのですがVENTILE®の生地と比べると薄手、あるいはストレッチが入っています。この辺りは好みや用途によって選択するのがいいです。
後は実際に履いてみて手入れして、どれほど実用的か、風合いの変化はetc.待ち遠しいです。
他VENTILE®生地
他に40/2(40番手双糸)のギャバジンと60/2のウェザー、40/2のウェザーがあります。ウェザーは平織りの生地です。
40/2ギャバジン
今回紹介するVENTILE®の生地では最も重い生地。昨年に40/2のギャバジンでコートのサンプルを制作しています。しっかりした密度で重さもあるのでコートにおすすめです。カジュアルなジャケットで休日スタイルに取り込むのいいでしょう。
40/2ウェザー
重さ的には60/2のギャバジンとほぼ同じ。光沢はやや控えめなのでTシャツと合わせたりなどよりカジュアルなコーディネートに馴染みやすそうです。用途としてはパンツやジャケットがおすすめでサラッとした質感が春夏を快適にしてくれそうな予感です。
60/2ウェザー
四つの生地では最も薄手の生地。夏を重視するならこの生地がおすすめです。また、ここまで薄手だとシャツにすることも選択肢にいれることができます(とは言っても普通のシャツ生地よりは厚手)。シャツとパンツでセットアップで着ることもできます。他生地では選択肢に入らない着こなしをすることができます。
仕上がり次第感想書きます
とは言え、しっかり実用的でないとクローゼットの奥の方へ追いやられることもしばしば。実際どうなんだというのをしっかり記録したいと考えていますのでよろしくお願いします。
盛大な脱線‐生地の番手表記‐
番手について触れませんでした。60/2という表記ですが、60番手の双糸の意味です。番手は糸の太さを表す指標です。太さそのものではなく、重さを基準にしています。
この番手表記ですが、数値が高くなればなるほど細くなると覚えてください。オーダーシャツでよく見かける100/2の表記は100番手の糸を双糸にしているという意味です。
番手表記ですが、原料によって基準が異なっています。つまり一般的なスーツ生地の番手とはすぐに比べることができません。
毛原料がkg(グラム)とkm(メートル)が基準なのに対して、綿原料がポンドとヤードが基準となっています。単位が異なる上にk(キロ)がつくのもややこしいです。
毛原料が1kgで糸が1kmになるものを1番手とするのに対して綿原料が1lb(ポンド)で840yd(ヤード)の糸を1番手とします。
ポンドとヤード、実生活に馴染みがないので中々しっくりこないですね。ボクシングやゴルフで聞き馴染みがあるでしょうか。
さて、綿原料の番手を毛原料相当に換算しましょう。
番手数はxと置きましょう。
1(kg)≒0.4536(lb),1(km)=0.0009144(yd)と換算して近似値を求めます。
x×0.0009144(km)÷0.4536(kg)=1.6933333……x(km/kg)となります。有効数字3桁で処理しましょう。1.69x(km/kg)となります。
では今回の60/2のVENTILE®を換算すると1.69×60=101.4(km/kg)とわかります。つまり101.4番手ということです。計算をよりシンプルにするなら変換に使う数字を1.7にして102番手相当です。グラムとポンドの関係上いずれにせよ近似値です。
今度はこの101番手(あるいは102番手)がどのくらいなのか、近いものでLoro Piana(ロロ・ピアーナ)のAUSTRALISやTASMANIAN® Super170’sです。双糸使いであることを考えるとTASMANIAN®の方が近いです。
どちらもスーツ生地の中でも柔らかくしなやかです。この生地を構成する糸がどれほど細いかイメージできたでしょうか。
ただ、イメージしやすいとは思いますが、糸の太さが同じであっても織り上げる密度、糸を構成する繊維の太さ、繊維長、当然ながら原料の違いによって全く特徴が異なります。
オーダーする際、生地の特徴を見るのは楽しみの一つです。同じ色や柄のだとしても生地を変えるとまた違った雰囲気を楽しむことができます。じっくり見比べてみるのはいかがでしょうか。
サルトクレイス谷町本店 髙橋
※VENTILE®は大和紡績㈱の登録商標です