洋服直し活用でグランパコア

「グランパコア」というワードが注目されているとのことで。“garandpa”(祖父)と“hardcore”(中核・核心部)を掛け合わせた造語とのこと。造語が作られては廃れていくアパレル業界においてグランパコアが定着するかどうか。
店頭で感じること
店舗に職人が在中し、お直し・リフォームをおおよそ2年が経過しました(2024年10月)。古着で購入したスーツやジャケット、祖父から譲り受けたというスーツを店舗にお持ちいただくことが増えました。
これまでは古いスーツを直すといっても厚手の肩パッドを薄いものに、あるいはナシにするなど現代的なスーツにすることが多かったです。ただそれは、ご本人の体型変化に伴う、2000年代前半などに購入したスーツなどでサイズを調整するのが主でした。
最近は当時の雰囲気をどことなく残した仕上がりのご依頼、ご提案をすることが多くなりました。
グランパコアのアイテムは
さて、グランパコアのポイントとしては上質な素材・作りが挙げられるでしょう。「上品」「温かみある」「ゆったり」の印象を持つ服が理想的です。イメージとしてはおじいちゃんのクローゼットから服を譲り受ける、あるいは借りてきた服。実際にそうであれば尚良しですが、必ずしもそうである必要はありません。
古着を選ぶ、新品を購入するでもいいでしょう。しかし、素材や作りが荒いと嘘くささが出てしまう、型崩れを起こしやすいなど・・・。
お直しのポイント
お直しをする際に必ずした方がいい箇所、必要に応じて直しをする箇所、ケーズバイケースのお直しについて解説していきます。
必ず直しをした方がいいポイント
袖丈
ジャケットの袖丈について、普段着用するスーツやジャケットよりも袖丈が長めでも構いませんが、長すぎる場合には調整するようにしましょう。
袖口の仕様によっては袖口からではなく肩を外して詰める必要があります。
短い印象を与えるよりは少し長いかなくらいのバランスがおすすめです。
ウエスト
スラックスのウエストについては着用に大きく影響してくるので調整するようにしましょう。お直しをしない場合にはサスペンダー(ブレイシーズ)を使用するのも手です。仕様などでどれくらい調整できるかは変わりますが、ウエストの詰める寸法は8cmが限度で一つ区切りをつけて置くようにしましょう。
股下丈
裾が靴にあたってクッション・たまりができる場合には丈を詰めるようにします。太めであることがほとんどだと思うので丈は普段よりも長めがいいでしょう。
「ゆったり」の印象とは異なり、裾のクッションはだらしない印象を与えうるので注意しましょう。
必要に応じて直しをする箇所
肩巾
多くの場合大きめの肩巾になっていることと思います。最終的には肩パッドの厚みにもよりますが、大きめのサイジングでOKです。あまりにも大きい場合には肩巾を詰めたほうがいいでしょう。一概には言えませんが、普段着用しているスーツの肩巾の2cm〜4cm大きめのサイズであればOKです。
全体のバランスにもよりますが、また、大きめで着たいのであれば肩パッドがある程度しっかりしている方が望ましいです。
身巾
肩巾同様に普段より大きくてOKなので2サイズほど大きいくらいでも構いません。
それよりサイズが大きい場合にサイズを詰めることもできますが、サイズは1.5サイズくらい小さくするのが限界です。袖丈を調整すると十分にスッキリと見えたり、肩巾を調整すると大きすぎる印象が抑えられます。袖や肩を調整しても大きすぎる場合のみに身巾調整するようにしましょう。
虫食い・穴・裏地のダメージ
古い洋服の場合保管状態や当時の使用によっては虫食いができていたり、穴があいていたり、ジャケットの裏地やスラックスの膝当てがボロボロになっているケースも。必要に応じて適切な修理を行う必要があります。
ビジネススーツとは異なるバランスに仕上げる
直しをする場合にも古臭い雰囲気を残す、その洋服が作られた当時のバランスを考慮して直しをする必要があります。
譲り受けた、一目惚れした古着などありましたらぜひサルトクレイスにご相談ください。