トレンドの変化-股上-
オーダースーツは魅力の一つは、トレンドに関係なくサイズ・デザインを決めることができることと思っています。これによって自分のスタイルを確立したり、自分の好みにどうしても合わないトレンドに抗うこともできます。
さて、ここ2、3年のトレンドは「オーバーサイズ」、「ワイド」といった大きめのサイズですね。「オーバーサイズ」、「ワイド」のキーワードをそのままスーツに持ち込むのは難しいです。「クラシック」が盛んに取り上げられるようになり、ディティールから取り入れられ、サイズ感にも波及しています。
クリースラインが消えるようなタイトフィットからゆとりのあるシルエットへ、お尻が半分見えるようなジャケットからお尻をほぼ隠すようなジャケットへ・・・。緩やかながらも変化が見られます。
さて股上についてですが、浅い・深いと表現します。細身のスーツが流行っていたときには股上が浅く、腰骨の高さで履きます。とてもスッキリした印象になるのが好まれました。丈の短いジャケットとも相性抜群です。
カジュアル、特にレディースでは顕著ですが股上の深いズボンが増えてきており、スラックスの上端がへその高さになることも珍しくなくなりました。「クラシック」が浸透してきたスーツではタック入りのフロント、ゆとりのあるワタリ(ふともも)、長くなってきたジャケットと深い股上が相性がよく徐々にその数を増やしています。
しかし、急な変化は受け入れられにくく、これまで22cmであった股上が25cm、26cmとはなりません。あくまで緩やかな変化です。
股上の深さはシルエット、ゆとりと連動しています。股上が深く、タイトフィットのスラックスが多くなかったように、股上が浅くゆとりのあるバランスのスラックスは多くならないように思います。
トレンドの変化に合わせて深くなる股上、太くなるスラックスを受け入れるか、股上が浅く、細いスラックスを自身のスタイルとするか、股上は浅めのままゆとりを取るスタイルをオーダーするかなどなど。
深めの股上は腰位置を高く見せるのでおすすめですよ。