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フレスコ・リネン・モヘア混-スタッフのスーツレビュー-

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いつもサルトクレイスのブログをご覧いただきありがとうございます。

少しずつ気温が上がり始めた5月は夏向けスーツを一番快適に着用できるシーズンであると感じるこの頃です。

自宅のクローゼットの夏スーツを見て整理がてらレビューしようかと思います。
少しでも参考になりましたら幸いです。

目次

手持ちスーツ

生地ブランド特徴目付け
Kynoch(カイノック)High Twistネイビー系280g/m
William Halstead(ウィリアムハルステッド)High Twistグレー310g/m
SPENCE BRYSON(スペンスブライソン)リネン380g/m
Holland & Sherry(ホーランドシェリー)Kid Mohair混グレー230g/m
SCABAL(スキャバル)Kid Mohair混ベージュ系不明

夏用に5着のスーツを持っていますが、偏りを感じます。薄く軽くなりがちな春夏生地ですが、可能な限りハリコシがほしいと考えるとこういった選択に。その生地がどの季節に向いているかの指標として目付けがよく参考にされます。春夏向けでは240g/m以下と案内されることが多いです。一着不明ですが、半数はそれを超えており、目付けだけを見ると通年向け(260g/mが通年向けと紹介されることが多い)の生地より重いです。
しかしながら、れっきとした夏向けスーツに仕立て上がっています。

それでは紹介していきます。

Kynoch -High Twist-

厳密には最初にジャケットを仕立て、後ほどトラウザーズを追加で製作したワンセットです。

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3つボタン1つ掛けの上段返りのジャケットはVゾーンが2つボタンと比較すると狭め。全体の重心を高めにしたい場合におすすめ。

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背中側はノーベント仕様。サイドベンツだったのを自分で閉じた。ピックステッチが入っているところとそうでないところの境があったりでやり直さないといけない。

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手持ちのスーツの中では数少ない本切羽。開けることはほぼほぼない。ちょっとした遊びで柄を入れたが表生地から少し透けてしまうのが難点。

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基準にしているインタックの2プリーツパンツ。ベルトレスで履くため股上は深め。明るめの膝当てが少し透けているため光沢を感じるときがある。

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サスペンダーで吊るすかあるいは後ろの尾錠を締めてウエスト位置を固定する。ピスポケットをナシにしているためヒップのラインが綺麗に出る。しかし、インナーには注意しないといけない。

Kynochのフレスコ生地で仕立てた一着はやや重心が高めでサイズ感も手持ちの中では2番目くらいにタイト。加えてストレッチ性が低いのでデスクワークでは少し背中が張ります。

トラウザーズは通気性が高いのと肌離れがいいので不快になりにくいです。ジャケットは真夏になると暑いですが、熱はこもりにくいように感じます。体質もあるのでしょうが、汗は脇がかきやすいためやや蒸れやすいですが、背中側はあまり暑いと感じたことはありません。

夏用ではありますが、背中も裏地を張った総裏です。暑がりではないためと生地の保護のため裏地を張っています。どちらかと言うと毛芯などが入っている前の方が暑いと感じることが多いため、背抜きであるか総裏であるかは気にしていないです。

裏地ですが、生地の特性上透けます。特に白地にチェック柄の袖裏は光を通すと感動するほど透けます。透けを気にするなら濃いめの裏地を付けるのがいいです。

トラウザーズはヒップのヌード寸が93cm程度に対して116cmの仕上がり。通常ツータックのゆとり14cm~15cmのゆとりを取ります。インタックはこれより少しゆとりを取った方がタックがきれいになりやすいので計23cmのゆとりを取っています。3サイズくらい大きくしています。
膝は47cm(巾で23.5cm)で裾が43cm(巾で21.5cm)なのでテーパードではなくストレート。夏に着用するので特別太くしているわけではないですが、細くてふくらはぎで引っかかたりするのがストレスに感じることがあったため。生地の特性もあって汗で不快にはなりにくいです。

  • 真夏にジャケットは暑い
  • トラウザーズは快適
  • 裏地の透けに注意が必要

タイトめのため着ていると最もシャキッとする一着ですが、一番酷使しているのは生地のタフさがあるからでしょう。

William Halstead-High Twist-

今年製作した最も新しい一着は定番生地のWilliam Harsteadで。

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2つボタン1つ掛けのシンプルなデザイン。ゴージは低めで太めのラペル。やや長めの前丈と低めのボタン位置が特徴的。

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こちらもノーベント。ウエストはゆったりさせつつもシェイプが出るように調整。特に語ることはない。

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少し太めのパンツは裾を巾4.5cmのダブルで。フルレングスで少しクッションが出るような丈で履いているが、夏を考えるとノークッションくらいにしてもいいかもしれない。太さがあるのでノークッションでも長めにできる。

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手持ちのスーツでは数少ないベルトループ付きのパンツ。股上を深くとり、ループの位置を下げている。少しクラシカルな雰囲気に。このバランスがどこかを痛めることもなく自然に履くことができる。

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ピスポケットの仕様でほぼほぼ両玉縁の仕様の中、ただただ片玉縁がほしかった。なんとなく両玉縁の方がシャープな印象を持っている。

先程のKynochと同様にフレスコ生地。まだ仕上がってからの日も浅く、夏を通して着ていない点はご承知ください。

Kynochの生地より重い生地で少し厚みがあるように感じますが、仕立てを軽くすることでより薄く、軽くした一着。こちらの方が涼しく感じる想定です。

サイズをややゆったりで仕立てており、タイトめのKynochと比べるとかなり楽です。近年は2つボタンが標準的ですがボタン位置の低さは長めの着丈によって、かなり違う雰囲気になっています。肩巾も普段44cmだったのを47cmに言うまでもなくかなり楽です。もう少しこうしてもいいかなという考えがいくつかあるものの概ね良好です。

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雰囲気としては映画オッペンハイマーで着用されているような1940年代のスーツに近いのですが、それと比べるとトラウザーズがもう少し太くても良かったかなと、、、。

私の体型は腰骨がしっかりしていてへその高さが細いので、股上を深くとるか腰骨でトラウザーズを履く必要があります。あるいは腰骨に引っかけるように履くか。ただこれは履いていて心もとないので好みではありません。固定するためにベルトをしようものなら上に上がっていってお尻に食い込み始めます。これが股上を深くする必要性です。腰骨で履くと痛いのであまり進んですることはないです。

体型によって安定するウエスト位置が異なるのでウエストのサイズだけでなく履き位置まで考えるようにします。一番考えなくていいのはブレイシーズ(サスペンダー)だったりします。

腹回りにゆとりのあるシャツを着ることも多くひょうたんのようになります。ブレイシーズとは違う腹周りが新鮮です。

裏地はあまり透けを気にしなくていいような色にしました。と言いつつあまり気にしていないだけで定番の同系色を合わせただけです。

  • 夏の快適さは不明
  • トラウザーズもう少し太くてもいいかも

今以上に気温が上がる夏にどうかが重要ですが、楽でシワに強いので着用頻度は高めです。

SPENCE BRYSON-LINEN-

夏スーツと聞くとリネンを思い浮かべる方も多いことと思います。白のリネンスーツは夏にふさわしい一着です。

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3つボタン2つ掛けでラペルも細めの一着。2つボタンと比べると少しカチッとした雰囲気を感じつつもタフさのある生地のせいかワークの匂いもする。

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唯一のセンターベントのジャケット。短めの着丈なのでノーベントやサイドベンツより馴染みやすい。シワが目立つが型崩れ防止のために総裏にしている。

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ピックステッチではなくミシンステッチ。ワークテイストをプラスするのに一役。

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スリーピースで仕立てたのでベスト付き。スリーピースで着たり、やや暑いときにはジャケットのみを脱いで調整。胸ポケットにスマホが入って便利。

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シワを伸ばすのとクリースを入れるために時々プレスをしている。最初と比べるとかなり柔らかくなり、快適。

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ベスト着用時にはブレイシーズで吊り、尾錠を使ってベルトレスで履いたり。後ろのサスペンダーボタンは表側に付けて使いやすさを優先。

憧れはあっても手が出ないスーツの筆頭格と思い込んでいる白のリネンスーツ。一般的なウールのスーツと比べるとリネンはシワが残りやすく、着用シーンを選びます。加えて白は汚れが目立つやすかったり、ダークスーツが多い街中ではかなり目立ちます。

リネンと一口に言っても糸の太さや織り方によって変わります。この一着はSPENCE BRYSONのTyrone(タイロン)でそこそこ重めの生地です。硬さもありましたが着ているうちにかなり柔らかくなりました。

夏の着用時ですが、まあまあ快適でした。ジャケットを着ていないとシャツ一枚で直射日光を浴びますが、直射日光を遮断してくれるので温度が上がりにくいです。リネンであるからなのか、色が白であるからなのか比較していないのでわからないですが、他のスーツと比べるとジャケットから伝わる熱が少なかったです。トラウザーズはベタつきなどもなくさらっとした感じで快適でした。

リネンを着ているからという思い込みもあるかもしれませんが夏スーツとしては優秀だったように思います。ただ、湿度の高い日はやはりどうしようもなく不快さはないものの他のスーツ同様涼しさを感じることはなかったです。

またこのスーツ、昨年夏の終わりに自分で水洗いしました。結果縮みました。当然です。他のスーツ比べると丈が短くなり、元々短めにしていたこともありかなりの差があります。夏だしいいか、と言い聞かせています。ただその分生地の表面の雰囲気は良くなりました。次は縮みを計算して大きめにするかもしれません。

  • 湿度の低い日には最強
  • リネンの特性、特徴の把握が重要
  • 手間やシワなどを楽しめる人向け

夏に必要な機能性は高いですが、2024年では趣味性の強い一着とならざるを得ないでしょう。

Holland & Sherry-Kid Mohair混-

夏向け素材で名前をよく聞くモヘア。その中でもキッドモヘアは繊維が細く、柔らかさを併せ持ちます。

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フォーマルなシングルピーク一つボタン。フロントカットが閉じたタイプ。

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一つボタンのジャケットは他のジャケットより慎重にボタン位置を決定する。ボタンは黒蝶貝を使用。

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フォーマルな合わせのためノーベント仕様。

夏向けの平織り生地は光沢が控えめな生地が多い中、キッドモヘア混のこの一着は冬の生地とは違う光沢があります。冬の生地よりドライな感じです。これは実際に比べてみるのがいいかと思います。

シングルピークの1つボタンジャケットとモヘア混特有の光沢、チャコールグレー無地、かなりフォーマルなスーツになっています。故にリネンシャツなどを着たい夏には少し持て余すことが多いです。白のブロードシャツにソリッドタイと合わせるのがしっくりしすぎるため。本当に困っている。

シンプルなチャコールグレー無地なのでノッチドラペルの2つボタンタイプでも洗練されたコーディネートにするのがいいと思います。トラウザーズだけで見ても少なくとも前述のフレスコなんかとは合わせられないです。

時折着る分にはとても新鮮なのでよしとしています。

さて、他のスーツ比べると薄手で軽く暑い中でも軽快感があっていい。フレスコやリネン同様に肌離れがいいので汗で不快になることもないです。フレスコと比べると足の付根部分に少しシワが入りやすいくらいでしょうか。膝も細めなら膝裏にシワが入りやすいかもしれません。ただ、長時間座っていてもヨレることはないので一晩ハンガーに吊るせば大丈夫です。

  • ウールの夏向け生地にはない強みが多い
  • 洗練されすぎている

夏のスーツでも光沢や滑らかさを求めるならキッドモヘア混スーツがおすすめです。

SCABAL-Kid Mohair混-

バンチブックからではなく、生地商社さんのストックから見つけた一着。我先にと作ってしまいました。

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衿付きベスト込のスリーピーススーツ。写真では捉えきれないがやや緑の入ったベージュ系。

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最近はベストを合わせずやや軽い感じで着ることが多い。サイドベンツなのでアクティブに着るのが個人的にしっくりきている

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厚めの肩パッドと作り込まれたビルドアップショルダー。未だにもう少し薄いパッドの方がよかったかと悩んでいる。

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脇尾錠付きのトラウザーズ。シンプルな一本。他のスーツと比べるとヒップが小さめ、タックが浅めという違いがある。

ただのベージュではなくやや緑を感じる生地は独特の面持ちです。Holland & Sherryのモヘア混と比べると滑らかさが劣るかなという肌触りで色の違いもあってあまり光沢感じない生地です。
あまりキッドモヘア混らしさを感じないので、もしこの生地を売り込むならモヘア混生地としては売り込まないことと思います。

モヘア混らしさはなくとも色味が素晴らしく一目惚れに近いことをしたのが納得の生地です。困るのが同じ生地で仕立てたいと言われたとき。本当に申し訳ございません。

夏場の着用感ですが例に漏れず不快ではなく、明るめの色なので表面の温度が上がりにくい感じがします。ただ、今回紹介しているスーツの中では一番シワが入りやすいです。

この一着も薄手の仕立てで柔らかく軽いのですが、肩パッドを厚めにしています。とてもきれいなのですが、ボリュームのあるビルドアップショルダー、生地の雰囲気や夏であること、仕立てを考えると薄手のパッドでナチュラルショルダーの方が良かったか…など考えることが多いです。それでも気に入っているのが不思議ですね。

  • キッドモヘア混感があまりない一着
  • 不満点を全て吹き飛ばす色味の魅力
  • 肩は一生悩みながら着ていくと思う

気に入った生地で作ることの楽しみを体感させてくれた一着です。

まとめ

今回スーツのここが気に入っている、気に入っていない、夏快適かどうかを紹介しました。どんなスーツに、生地に不満を持ちやすいかだったり、夏を快適に過ごすなら自分はどういった生地を選ぶのがいいかなど明確になります。

個人的には夏はフレスコ系の生地がおすすめです。

  • シワになりにくい
  • 肌離れがいいので汗でベタつきにくい

スーツとしての扱いやすさと少しでも不快感を抑えるにはどうするか。夏はどうやっても暑いと思いますので。

夏のスーツについて気になることなどありましたら気軽にご相談ください。

サルトクレイス谷町本店 髙橋

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