オーダースーツ論
皆様こんにちは。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
日増しに秋も深まり、朝夕は肌寒さを感じるようになってきましたね。
恒例の京都関連イベントのご紹介ですが、今回は昨年大好評だった「二条城まつり2019」です。
2019年は世界遺産登録25周年を記念して、夜間のライトアップを中心に様々なイベントが開催されるとのことです。
城内にある色とりどりの紅葉、黄葉も見どころのひとつですね。
また昨年好評を博した夜間ライトアップやプロジェクションマッピングがあり、人の動きに合わせて映像が動くインタラクティブや紅葉のライトアップなど魅力的なコンテンツが
満載でおおいに楽しめそうです!
さて、本題です。
今回は「オーダースーツ」についてです。
「オーダースーツ」において私たちの基本的な役割とは?
まず第一に可能な限りお客様の身体にフィットさせ、動きやすいスーツをつくることです。
次にそこにお客様のお好みを取り入れ、スタイリングを完成させることです。
対して既製品のスーツとは?
いうまでもなく、既製品のサイズはある平均値から割り出されています。
平均値は日本人の平均体型をもとに、あれこれパターン化して数字やアルファベットでサイズ表記されたものです。
このパターン化されたサイズは多ければ多いほど良いですよね。
なぜなら、サイズに該当する体型が増えるからです。
しかし、皆様もご存じの通りご自分の体型にフィットした既製品に出会うことはなかなかございません。
通勤途中の電車内を見回してみても、着こなしが大きすぎたり小さすぎたりとバラバラな方が多いですね。
やはり現代ビジネスの場で着るべき服は、身体に正確にフィットすることが求められているのではないでしょうか?
スーツは生地(布)の切れ端から成立しますので、歩いたり座ったり、手を上げたりするごとに生地(布)があちこち大量に動きます。
このいろいろな動きに対してスムースに合わせるためには、巧みな縫製と身体にピッタリと合っていることが条件になります。
例えば肩の大きすぎる服は、前に屈めば、本人の肩だけ前に動き、服はそのまま後ろに残るため引きつります。
逆に肩幅に対して短すぎる肩は、腕の動きを制限し、胸から胴回りにかけて無理が生じます。
動いている時だけでなく、止まっている時もそうです。
動いている時から、静止状態になった時、速やかにスッと元の状態に戻らなければ、サイズが合っていない証拠です。
よくジャケットを着たときや椅子から立ち上がった時などで、ジャケットの裾や袖を整えたり、パンツの裾やウエスト廻りを整えたりすることはないでしょうか?
身体に沿った正しいサイズであれば、身支度せずともキレイに元に戻るはずです。
既製服には上記のように合わない箇所に対して、修正(お直し)出来るようあらかじめ数センチほどの設定がなされています。
例えばジャケットの袖丈やパンツのウエスト、股下などです。
しかしながら、そのほかの箇所においては修正(お直し)が出来たとしても、バランスが崩れていきます。
ジャケットの肩や着丈、パンツの太さなど、ひとつの修正(お直し)はひとつのバランスの崩れにつながります。
多くの方がお悩みなのが、このようなサイズのバランスと修正(お直し)によるコストではないでしょうか。
例えば、小さいスーツとピッタリのスーツとの違いは?
小さいスーツは身体に対して小さく、ピッタリのスーツは身体に対して隙のないスーツといえるでしょう。
大きいスーツは身体に対して大きすぎ、隙間だらけのスーツにすぎません。
既製品では、ご自身の身体を服に妥協させているのが現実です。
オーダースーツは逆に、服を身体に調整させて、合わせていきます。
ここが既製品とオーダースーツとの大きな違いのひとつです。
オーダースーツではお客様ご自身の身体に合わせて採寸いたしますので、ピッタリとサイズを合わせ、体型補正を施して着心地の良いスーツが出来上がります。
さて、次にオーダースーツのお楽しみといえば、お客様ご自身のお好みに合わせた生地選びをはじめとするスタイリングではないでしょうか。
私共ではお客様ご自身の魅力を再発見していただけるオーダースーツを提供するために、様々なニーズにお応えできるようカウンセリングをしております。
まずは重要かつ、お楽しみの生地選びからです。
生地選びはオーダースーツならではの醍醐味でもあり、採寸とならび大変需要な点です。
お好みはもちろん、季節やどのようなシチュエーションでお召になるのか?お仕事用か式典など冠婚葬祭用か、など目的などもお伺いいたします。
また、ビジネスマナーや社内ルールなどもございますので、そちらの確認もさせていただき、アドバイスさせていただきます。
たとえば通年お召になられるような生地が良いのか、そのシーズンに合った季節感ある生地が良いのかなどです。
だいたい目付250gをめどに春夏と秋冬に分かれますので、ご希望に沿った生地をご案内させていただきます。
この目付とは生地の大きさ(1.5m×1.0m)あたりの重さです。
だいたい240g以下が春夏生地、260g以上が秋冬生地とされておりますので、250gあたりがオールシーズン対象となります。
ただし、あくまでも目安ですので240gの生地でも裏地を「総裏仕様」にして3シーズンぐらい着れるようにするなどお好みに応じてアドバイスさせていただきます。
着用のシーズンがわかれば、待ちに待った色、柄を決める生地選びです。
無地にするのか?ストライプにするのか?はたまたチェックに挑戦か?などご予算に応じた生地サンプルから色々とご覧いただきます。
無地でも色の明度、彩度によって見え方が変わります。
またストライプやチェックになると、上記の色の見え方に加えてストライプの幅やチェックの大きさなど確認していただきます。
生地サンプルだけで判断せず、お仕立て上がりをイメージしていただくことが重要です。
このお仕立て上がりと生地サンプルをイメージで結びつけることが大変難しく、正直私共でも苦労しているところです。
ここでひとつアドバイスさせていただきますと、事前にどのような生地にするか決めておくことです。
アバウトで結構ですので、無地かストライプか、色やストライプの幅などを決めておき、できれば携帯電話の画像にご希望の生地を取り込むなどしておくと、店頭でそれをご覧になり、見比べながら選べますので参考になるはずです。
ネットなどで見つけたお気に入りの画像や既製品の画像などをコピーや保存しておき、参考にするのも良いでしょうね。
また、あらかじめ百貨店や専門店などでご希望の色柄を既製品でチェックしておくと、お仕立て上がりがイメージしやすいと思います。
一番分かりやすいのは、スーツなどを購入された時に添付されている「残布」が良いでしょう。
但し、ご希望の生地に近い残布があればですが、色や柄の大きさの他、生地の厚みなどで大いに参考になるはずです。
実際にお召になっているので、生地の感触やシワの加減なども確認しやすいでしょう。
ただ、このようにむずかしい生地選びですが、お仕立て上がりを想像することも大いなる楽しみです。
生地サンプルからお仕立て上がりを妄想、想像することはオーダースーツの醍醐味ですね!
生地が決まればまたまたお楽しみのボタンや裏地、様々な仕様、デザインを決めていただきます。
オプションを含めますと約17種類、約70色のボタンからお好みのボタンをお選びいただきます。
樹脂製の様々なカラーボタンから、天然素材のボタンなどバリエーション豊富にご用意がございます。
例えば水牛の角が原料の水牛ボタンは、着色をしませんのでひとつひとつ違います。
マーブル模様が微妙に違ったり、白い筋の入り方がひとつずつ違ったりとそれぞれ色毎に魅力があり、高級感につながります。
同じく天然素材のボタンとして、ナットボタンがございます。
ナットボタンは椰子の実が原料です。
元の色はすべて乳白色ですので、色付きのものは後から染めています。
ですので、カラーバリエーションが多くあり、コーディネートもしやすいですね。
裏地はオプションを含め約20種類以上、約110色以上のボリュームからお好みをお選びいただけます。
無地でもカラーバリエーションが多くございますし、柄物でも小紋柄やペイズリー柄、ストライプやチェック、アーガイルなどございます。
個性を発揮したい方にはフラワープリントやカモフラージュ柄、ゼブラ模様などもございます。
裏地では表の生地と同様素材も重要です。
滑りが良いのはもちろん、通気性や吸湿、放湿などにもすぐれたキュプラ素材をご用意しております。
キュプラは綿花の短い原毛が原料です。
ポリエステル素材に比べて柔らかく、ドレープ感と光沢感があります。
静電気が起きにくいことも特徴のひとつです。
キュプラ素材ならではのメリットを勘案しつつ、お好みの色柄をお選びいただくお手伝いをさせていただきます。
表の生地はビジネスマナーや社内ルールなどでお好みの生地をお召できない方が多くいらっしゃいます。
そういった方々が個性を発揮していただけるのがボタンと裏地ではないでしょうか。
よく手にするボタンとチラリとのぞく裏地にこだわりを込めてお選びください。
まだまだお楽しみは続き、肝心のデザインに参りましょう。
ジャケットでは、シングルかダブルブレストか?
シングルなら2つボタンか3つか?
もし3つボタンなら現代の主流から、段返り仕様がおススメです。
ボタンを留める位置は2つボタンと変わらないので、シャープなVゾーンとなります。
ラペルのデザインはノッチかピークドラペルか、もしくはセミノッチか?
オーソドックスにいくならノッチドラペルでしょう。
例えば、シックな生地をお選びになった場合、その分少し華やかにピークドラペルをチョイスしてもよいでしょうね。
ラペルのデザインの変化に抵抗がおありの方はセミノッチをお選びになってもよいでしょう。
お顔に近い分、少しの変化でも印象は変わりやすいです。
また、ラペルは幅にも気をつけないといけませんね。
幅が広すぎても大袈裟な印象になりますし、肩幅の細い方など特に注意が必要です。
逆に細すぎますとシャープな印象になりますが、貧相な見え方にも要注意ですね。
そのラペルの横に鎮座する胸のポケットはいかがいたしましょう。
すっとななめにまっすぐシャープなタイプか?
イタリア発祥の船底型の曲線を描くバルカポケットタイプか?
こちらもお好みでお選びいただければと思います。
腰のポケットも収納としての機能性はもちろん、デザインとしても大切です。
水平につけるか、ななめに角度をつけてつけるかやパッチポケットといって後付けのようなタイプにするかなどです。
またそれぞれにチェンジポケットをつけることも候補にあがるでしょう。
最もクラシックなタイプは水平にフタをつけないタイプです。
次は水平にフタをつけるタイプとなり、ななめに角度をつけるスラント型と続きます。
チェンジポケットは英国的な生地と相性がよく、クラシックで少しくだけた感じになりますね。
さて、袖口の仕様はいかがいたしましょうか?
ボタンの数は3つか4つか?4つなら重ねてつけるか?
ボタンホールは本開き本穴仕様にするか?
袖口のボタン数は前のボタン数と関係なくお選びください。
ひと昔前では前ボタンが偶数なら袖口は奇数、逆に前ボタンが奇数なら偶数などといわれていましたが、最近では特にそういった決まりもなくご自由にお選びいただけます。
但し、3つ以下はややカジュアルな印象になりますので、スーツなら3つか4つがおススメです。
後ろ姿も重要です。
裾の切り方、いわゆるベントのスタイルはいかがいたしましょうか?
真ん中に入れるセンターベント、両端に入れるサイドベンツ、切り口なしのノーベントか?
普段の動きやすさからの機能性と、本来タキシードなどフォーマルウェア対象のノーベントはおススメできません。
立ったり座ったり、歩いたり走ったり、日々忙しく動く方々にはセンターベントかサイドベントがよいでしょう。
パンツのポケットに手を入れやすく、見た目がきれいなサイドベントがおススメですが、お好みでお選びいただければと思います。
さて、いよいよパンツです。
パンツで一番大きなデザインとして、プリーツ(タック)を入れるかどうかですね。
スッキリと見せたいならノータック、最近トレンドのクラシックスタイルならプリーツを入れてもよいでしょう。
1タックでも2タックでもお選びいただけます。
プリーツ入りといっても、バブル期に流行ったような股上が深く、ゆったりと太めのシルエットではなく、これまで通りの細身シルエットで入れることができますので、ご相談ください。
前のポケットもシームに沿ったたて型や手をいれやすいななめ型などございますし、ヒップのポケットもボタン付きやボタン無し、フラップ付きなどお好みでお選びいただけます。
お裾の仕様も重要ですね。
シャープにスッキリとシングル仕様か、クラシックにダブル仕様か?
ダブル仕様は生地を折り返している分、裾に重みが増し生地が落ちやすくシルエットがキレイに見えやすいです。
また、裾が傷んできた場合やちょっとスタイルに変化を求める時にシングル仕様にすることが出来るメリットがあります。
但し、お選びになる生地やスタイリングによってはシングル仕様の方がおススメの場合もございますので、ご相談ください。
他にもまだまだお決めいただく項目がございます。
裏地と表地との境目のデザイン、いわゆる台場の仕様や、ステッチの有無、スリーピースの場合はベストのデザインもあれこれお決めいただきます。
私共がお客様とご一緒に考え、アドバイスさせていただきますので、どうぞオーダースーツの楽しいひと時をお過ごしいただければと思います。
サルトクレイスではお客様の様々なご要望にお応えするべく、3つのレーベルのご用意と
コストパフォーマンスの高い生地などバリエーション豊富にご用意しております。
生地やデザイン、価格などご不明な点につきましてお気軽にお問い合わせください。
皆様のお越しをお待ち申し上げます。
京都店
泉
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ご来店前、事前のご連絡(ご予約)をいただけますと幸いです。
お客様ご対応中や混雑時、長らくお待ちいただく可能性がございます。
急なご来店の場合も最大限対応させていただきますが、
事前にご予約いただいているお客様を優先させていただきます。
ご理解ご協力の程宜しくお願い申し上げます。
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